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東日本大震災でフロンガスなどが大量排出 研究データで判明

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東日本大震災でフロンガスなどが大量排出 研究データで判明

国立環境研究所を含む国際研究グループは、大気観測データを用いて、東日本大震災後に、強力な温室効果気体やオゾン層破壊物質であるハロカーボン類(フロン、代替フロンを含む)の大気への排出量が大幅に増加したことを明らかにした。

この大量の排出は、エアコンの冷媒や断熱材の発泡剤などとして製品中に含まれていたハロカーボン類が、建物の倒壊などによって大気へ漏出したことによると考えられる。本研究により、地震や津波などの自然災害が、ハロカーボン類の大量排出を引き起こしうることが初めて示された。

大気観測データを用いて国内からの排出量を推定

本研究ではハロカーボン類の大気観測を実施している国内3地点のデータを大気輸送モデル等と組み合わせて解析し、日本国内からのハロカーボン類の排出が震災前後でどのように変化したのかを推定した。

その結果、ハロカーボン類の排出量は東日本大震災の発生後に大幅に増加し、震災に伴う排出量は研究対象とした6種のハロカーボン類全体で6.6キロトンと推定された。これは、オゾン層破壊物質としてフロンCFC-11に換算すると1.3キロトン、温室効果気体であるCO2に換算すると19.2メガトンにそれぞれ相当する。

この東日本大震災による排出量の増加は、全球レベルで見ると各ハロカーボン排出量の4%以下で大きくないという。しかし、ハロカーボン類を含む断熱材や冷蔵庫などは世界中で使用されており、自然災害は世界各地で発生している。更に被災した機器の更新にハロカーボン類(あるいはその他の成分)が使用されることを考慮すると、自然災害に伴うハロカーボンの累積した排出量は小さくないと考えられる。

大気観測に基づく排出量推定を活用する仕組み作りを

一方、日本のハロカーボン類の排出量は、発生源に係る各種統計データ等(例:エアコンの台数、1台あたりのフロン等の平均漏出量)に基づいて推定され、排出量の目録(排出インベントリー:化学物質がどれだけ大気へ排出されているかを示す推定値の一覧表)として公式にまとめられている。しかしこうした排出インベントリーでは、震災後のハロカーボン類の排出量の増加が示されていない。この原因として、排出インベントリーでは地震や津波による建物の倒壊に伴う排出を考慮されていないことが考えられる。

研究チームは、大気観測に基づく排出量推定は、震災後などのように統計データに基づく推定が困難な場合には特に重要になると捉えている。今後は、大気観測やモデルに起因する排出量推定の不確実性を低減していくと共に、大気観測に基づく排出量推定結果を排出インベントリーの検証や補完に活用する仕組み作りを考えていく必要があると指摘する。

【参考】
国立環境研究所 - 東日本大震災に伴うフロン等の大量排出

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