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CO2回収・貯留・利用の世界規模は15年比で30年に31倍 民間予測

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CO2回収・貯留・利用の世界規模は15年比で30年に31倍 民間予測

矢野経済研究所は、CO2回収・貯留・利用(CCSU)技術について調査し、将来を予測した結果を発表した。2015年のCCSUの世界規模は年間33Mt-CO2。これが2030年には年間1,040Mt-CO2、2050年には年間4,590Mt-CO2に拡大すると予測する。

市場導入初期においては、CCSプロジェクトの収益性を向上させる石油増進回収(EOR)がCCSUをリードすることが予想される。しかし、EORが可能な場所は限られているため、徐々にポテンシャルのより大きな帯水層への貯留が増加していくとみている。

CCSU(CO2回収・貯留・利用)は、CO2回収・貯留(CCS)とCO2利用(CCU)を合わせた造語で、本調査ではCCSとCO2利用(物理的・化学的利用)を総称してCCSUと定義している。

また、本調査では、IEA(国際エネルギー機関)の「6℃シナリオ(6DS)」や各国の排出削減目標などをもとに、矢野経済研究所が独自に世界のCO2削減目標(高位)を仮定し、CO2削減量のうちCCSU対象となるCO2量を試算した。

その他、調査概要は以下のとおり。

CCS(CO2回収・貯留):発電所・製鉄所などへのCCS適用が進む

オーストラリアの非営利団体「Global CCS Institute」によると、2014年時点では世界で13件の大規模CCSプロジェクトが操業中であり、建設中9件、開発中32件を合わせて54件のプロジェクトが進行中である。

国・地域別では北米が世界のCCSをリードしていると言え、また最近では中国における開発計画も目立っている。操業中プロジェクトの大半は天然ガス精製時に発生するCO2を対象としたものであるが、発電所や製鉄所などから排出される比較的圧力・濃度の低いCO2を対象としたCCSが広がりつつある。

今後はCCSが適用される国・地域、CO2排出源、回収方式、輸送方式、貯留方式の拡大によって、CCS技術の進展と回収・貯留量増大が期待される。CO2回収技術としては吸収法、吸着法、膜分離法などがあり、特に、化学吸収法による研究開発が最も進んでいる。現状ではCCSコストの60%以上が分離・回収に係るコストであるため、低コスト・低エネルギー消費のCO2分離・回収技術の開発が進められている。

CCU(CO2利用):新たなCO2利用の研究開発、実用化が進展

CO2利用には石油増進回収(EOR)、工業利用(溶接、飲料用など)、農業利用(施設園芸におけるCO2施用)などの用途がある。また、CO2を有機化学品に変換するための研究開発も行われている。現状でCCUとして実用化されている技術はEOR、尿素増産などごく一部の用途に限られているが、幅広い分野において新たなCO2利用の研究開発、実用化が進展している。

課題はコスト:インセンティブと技術開発の両輪で推進

CCSU導入の課題の一つはコストにあり、炭素税や排出量取引制度などの経済的インセンティブ制度の整備・確立が不可欠である。このような政策的取り組みは既に始まっており、今後世界的に拡大すると見込まれる。

将来的にインセンティブ制度が確立し、法的な基盤整備なども進んだ場合に備えて、省エネルギー化を含むコスト低減のための技術開発を継続的に進めておくことが求められる。輸送、貯留または利用に係るコストは輸送距離・手段、貯留場所、利用方法などによって大きく異なるが、CO2回収コストは技術開発による低減が可能である。このため、低消費エネルギー、かつ低コスト化を実現するCO2分離・回収技術の飛躍的な進展が望まれる。

【参考】
矢野経済研究所 - CCSU(CO2回収・貯留・利用)技術に関する将来予測 2015

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