環境用語集 CCS(Carbon Capture and Storage)

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(出所:経済産業省 技術開発の推進)

CCSとは

「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で、工場や発電所などから排出される二酸化炭素(CO2)を大気放散する前に回収し、地下へ貯留する技術のこと。 CCSは、2019年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」において、「とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、2030年までにCCSを導入することを検討する」と位置づけられている。

カーボンニュートラル実現に向けたCCSの位置づけ

パリ協定の目標を達成するためには、環境技術へのさまざまな投資が必要であり、日本ではカーボンニュートラル(CN)を実現するような技術や、過去に排出された大気中のCO2をも削減する「ビヨンド・ゼロ」を可能とするような革新的技術を、2050年までに確立することを目指している。

その革新的技術のひとつが、産業活動から排出されるCO2を回収して貯留するCCSと、これを有効に利用する技術CCUSである。国際エネルギー機関(IEA)のレポートによれば、CCUSは2070年までの累積CO2削減量の15%を担い、CN達成時に約69億トン/年の削減貢献をすることが期待されている。

北海道苫小牧市におけるCCS大規模実証試験

CCSの実用化に向けては、北海道苫小牧市において日本初の大規模な実証試験が行われ、2019年11月に二酸化炭素(CO2)の累計圧入量が目標である30万トンを達成した。

苫小牧におけるCCS大規模実証試験の概要は、以下の通り。

  • 経産省は、2012年度から2017年度まで「二酸化炭素削減技術実証試験事業」を日本CCS調査に委託し、苫小牧市にて実証試験を実施。なお、2018年度から2019年度の2年間は、NEDO交付金により「CCS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCS大規模実証試験」の一環として行われた。
  • 2012年度から2015年度の4年間は、必要な設備の設計・建設や調査を実施。2016年4月からは、年間10万トン規模のCO2圧入を目標に、海底下約1,000mの地層及び約2,400mの地層に圧入し、2019年11月22日に、累計圧入量が目標の30万トンを達成した。
  • 今後はCCS実証設備を有効活用し、メタノール合成等のカーボンリサイクル実証を行い、苫小牧におけるCCS/カーボンリサイクル実証拠点化を進める。

【参考】
資源エネルギー庁 - CO2を回収して埋める「CCS」、実証試験を経て、いよいよ実現も間近に(前編)
経済産業省 - CCS大規模実証試験の報告書をとりまとめました

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