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2030年の電源構成案に見直し意見 「再エネは不十分」、「電力コストの根拠は?」

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2030年の電源構成案に見直し意見 「再エネは不十分」、「電力コストの根拠は?」

経済産業省は26日に開催した有識者会議、長期エネルギー需給見通し小委員会(第9回)で、2030年のエネルギーミックス(電源構成)等を示した「長期エネルギー需給見通し(たたき台)」を示した。

本案(たたき台)は、前回の委員会で示した「長期エネルギー需給見通し 骨子(案)」を踏襲・肉付けしたものとなっている。2030年の電源構成は、前回と同じく、原子力は22~20%、再エネは22~24%など、主な数値は変わっていない。前回の骨子案の概要はこちらから。

今回の委員会では、前回の骨子案に対して、3名の委員が連名で意見を提出するなど、様々な意見が出された。委員の一人、名古屋大学の高村ゆかり氏は、骨子案関連資料で示された再エネの導入見込量、特に太陽光風力の導入見込量の算定の根拠となっている「電力コスト」の考え方に疑問を呈し、再エネ導入見込量は再検討されるべきだとしている。これらの意見の概要は以下のとおり。

再エネの水準は不十分、原子力の位置づけは国民に問うべき

3人の委員が連名で以下の意見を提出した。

  1. 昨年4月に策定された「エネルギー基本計画」では「震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」、また骨子案の本文中においても「省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」と書かれている。東日本大震災と福島第一原発事故を踏まえたこのエネルギー基本計画の立場が、今回の議論の出発点であったはず。原子力20~22%、再エネ22~24%という骨子案は、原子力も再エネも、この条件に十分にこたえていないと言わざるを得ない。
  2. 原則40年と法が定めた原発の運転期間を遵守すれば、2030年までに約30基が廃炉になり、建設中の原発を加えても原発比率は最大でも15%程度にしかならない。原発比率20~22%の水準をどのように確保するかについて骨子案は言及していないが、2030年、そして、それ以降の原子力の位置づけについて、真正面から議論し国民にその選択を問うべき。
  3. 再エネの水準(22~24%)は不十分であり、2030年に少なくとも30%程度をめざすべき。特に太陽光と風力の導入見通しについては十分積み増しが可能。また現在のシステムを前提に再エネ導入の限界を議論するのではなく、分散型エネルギーシステム構築に向けていかにして大幅な導入が可能になるのかを議論すべき。再エネ導入が、地方でのビジネス、雇用の創出など「地方創生」「地方活性化」の効果をもたらしていることも忘れてはいけない。

また、この意見では、報告書案の作成の過程において以上の点を踏まえた検討を、少なくとも本意見書に示す意見があることについて、報告書案に反映・付記することを要望した。

再エネ導入見込量は要再検討

高村ゆかり氏は、再エネの導入見込量算定の基になっている「電力コスト」の考え方について、その対象とするコストの範囲、その国民負担の抑制との関係性などが明確にされるべきであり、自給率を確保し、燃料費を抑制することで国民負担を抑制する長期的便益を考慮して、再エネ導入見込量は再検討されるべきだとさらに指摘する。

高村氏は、骨子案関連資料で示されたスライドの内容(図)でいうところの「電力コスト」の抑制が、「国民負担」、特に電気料金の上昇を抑制することとなるのか疑問だとしている。

その理由として、「電力コスト」には(燃料費+FIT買取費用+系統安定化費用)が計上されているが、計上されるコストが電源ごとに異なり、電気料金の原価の一部のみを反映していることや、再エネの買取費用を計上することで再エネの資本費は「電力コスト」に含まれているが、火力・原子力は燃料費のみが「電力コスト」に含まれ、資本費や保守費は含まれていないことをあげている。

また、電気料金上昇の最大の要因は燃料費であり、電源比率で最も割合の高い火力発電の燃料費をいかに抑えるかが現在の課題だ。円安によって燃料購入費用が上昇した影響もある。確実に燃料費を抑制するためには、国産電源である再エネを積極的に導入することが必要で、特に、再エネへのコスト(投資)に対する便益としての燃料費の抑制効果は、単年ではなく、中長期の「期間」で効いてくることに留意が必要であると同氏は指摘している。


長期エネルギー需給見通しは、エネルギー基本計画を踏まえ、中長期的な視点から、2030年度のエネルギー需給構造の見通しを策定するもの。この見通しを踏まえて、日本が国連に提出する温室効果ガス削減の目標等の取組み(約束草案)も決定する。今回の委員会では「長期エネルギー需給見通し(たたき台)」は了承されなかった。

【参考】
資源エネルギー庁 - 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第9回)

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