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アメリカ人「再エネ増やしたら電気代700円増えてもOK!」 一方日本人は…

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京都大学などは、電源構成(ベストミックス)案に対して、原発重視または再エネ重視となったときに、消費者がどれだけの電気料金の支払い意志を持っているかを日米で比較調査した結果を発表した。

本研究では、コンジョイント分析と呼ばれる仮想的な消費者選択を通じて、消費者の原発比率や再エネ比率に対する金銭的な支払意思額を計測するとともに、米国消費者の支払意思額との比較分析も行った。

まず、日米消費者に対して、環境やエネルギーに関する定性的な意識調査を行い、その後、計量経済学的な定量的分析の結果、ベストミックスに関する消費者の受容度について、以下のような結果が得られた。

  • 再エネ比率を10%上昇(火力電源を代替)するプランに対して、日本の消費者は月間電気代が310円上昇することが妥当と考える。他方で、米国の消費者は、およそ700円上昇してもよいと考えている。
  • 原発比率を10%上昇(火力電源を代替)するプランに対して、日本の消費者は月間電気代が720円下落しないと釣り合いがとれないと考える。他方で、米国の消費者は、およそ100円の下落で十分と考えている。
  • 温室効果ガス排出量を10%削減するプランに対して、日本の消費者は月間電気代が260円上昇することが妥当と考える。米国の消費者も、およそ300円上昇してもよいと考えている。
経済産業省案
(2030年目標)
代替案1
(原子力重視)
代替案1
(再エネ重視)
月額電気料金 \8,500 \7,378 \10,766
温室効果ガス排出削減量
(Nox、SO2、CO2)
-22% -34% -22%
化石燃料 56% 36% 56%
原子力 22% 42% 0%
再生可能エネルギー 12% 12% 34%
水力 10% 10% 10%

この結果から、日本の消費者は、経済産業省の2030年度電源構成案に対して、月額電気料金8,500円をベースとして、

  1. 原子力重視案で、月額電気料金1,122円の下落
  2. 再エネ重視案で、月額電気料金2,266円の増加で心理的に釣り合いがとれると考えている。

研究の背景

昨今、2030年時点の望ましい電源構成「ベストミックス」について、政府内で検討が進んでいる。経済産業省は、原発比率を20~22%として、震災前の約30%から引き下げる一方で、太陽光風力など、再生可能エネルギーを現状の10%から2倍となる22~24%とする政府案を取りまとめ、国民からの意見公募などを経て、6月までに最終案を固める予定である。

この大きな政策的議論の中で、日本の消費者の受容度に関する精緻な定量的分析を行った研究はほとんどなかった。本研究グループの依田高典教授は、「供給側重視の見方を否定するものではないが、他方で、消費者が個別具体的な電源構成に対して、どれだけの支払い意志を持っているのかという需要側の見方も必要。我々は、こうしたベストミックスに対する消費者受容度を計量的に測定した」と語る。

環境やエネルギーに関する定性的な意識調査の結果

定量的な分析に先だって、日米消費者に対して、環境やエネルギーに関する定性的な意識調査を行った。その結果は以下のとおり。

  • 温室効果ガス排出量削減に対して、日米の6割以上が肯定的に評価した。
  • 福島事故以降、日本の6割以上が、原発に対する認識が変わったと回答し、国内の原発を将来的には廃止すべきと考えている。他方で、米国では半数の回答者が、原発は慎重に増設すべきと考えている。
  • 再エネに対しては、日米とも、7割以上が今後もっと普及するべきだと考え、日米とも太陽光に対する評価が大きいが、日本では地熱、米国では風力に対する期待が大きいなど若干の差もあった。

ベストミックスと電気料金、トレードオフの直面する消費者

消費者は、ベストミックスと電気料金に関するトレードオフに直面しており、一方で原発嫌い(再エネ好き)、他方で値上がり嫌いと思っている。このような時に、消費者は「認知的不協和」を引き起こしやすい。具体的には、原発容認・値上がり反対あるいは原発反対・値上がり容認の選択肢を無理やり選ばせてしまうと、たまたまとってしまった自分の態度に固執してしまう。そのような場合は、今は無理をして選ばないという第三の選択肢があると、消費者効用は10%以上上昇することも知られている。

研究の方法

対象は、東日本大震災後の2013年2月、ネット調査会社に登録しているモニター日米それぞれ4,000名。日本の消費者は年齢・性別が偏らないようにモニターの中から無作為に抽出した。米国の消費者はニューヨーク・ミシガン・テキサス・カリフォルニアという代表的4州からそれぞれ1,000名を無作為に抽出した。

今回のコンジョイント分析では、説明変数として、月間電気料金・温室効果ガス排出削減量・電源構成における化石燃料比率・原発比率・再エネ比率・水力比率を用いた。数値設定が異なる二者択一の中から、回答者は望ましい選択を選び、研究グループは得られた選択データに計量経済学的手法を用いて分析した。

【参考】
京都大学 - 電源のベストミックスに関する消費者受容度の日米比較調査

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