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「NH3」←水素たくさん入ってる! 期待されるアンモニア燃料電池

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「NH3」←水素たくさん入ってる! 期待されるアンモニア燃料電池

京都大学などは22日、アンモニアを直接燃料とした固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、世界最大規模(200Wクラス)の発電に成功したと発表した。

アンモニアは分子式がNH3で示されるように水素を多く含んでおりエネルギーキャリアとして期待されている。今回の成果は、アンモニアのエネルギー利用技術の大きな進展となり、CO2を排出しない(CO2フリー)発電の実現が期待される。

今後、アンモニア燃料を用いて、家庭で使用できる出力である1kWクラスの実証実験を行う予定。また、アンモニア燃料は、分散型電源として、業務用の発電への展開も期待されている。

水素キャリアとして注目、発電用燃料利用に期待が高まるアンモニア

近年、再生可能エネルギーの大量導入・利用の際のエネルギー貯蔵・輸送用の媒体として、エネルギーキャリアへの期待が高まっている。エネルギーキャリアは、常温常圧では気体の水素を、水素を多く含んだ化学物質に変換して、より簡便に貯蔵・輸送を行うための媒質だ。

アンモニアは炭素を含まず水素の割合が多い水素キャリアとして注目されており、発電用燃料としての利用に期待が高まっている。アンモニアを燃料として発電しても主に水と窒素しか排出しないことから、通常の化石燃料である炭化水素を利用した燃料電池に比較し、CO2排出量の削減効果が大きい。

研究の経緯

京都大学大学院工学研究科江口浩一教授を研究責任者とするアンモニア燃料電池チームは、再生可能エネルギーの大量導入を支える水素キャリアの研究開発を推進しており、アンモニアを燃料とする燃料電池の開発に取り組んでいる。本発電試験は京都大学において行われた。

なお、本研究開発は、2014年度からスタートした内閣府「総合科学技術・イノベーション会議」のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)「エネルギーキャリア」(管理法人:科学技術振興機構)の委託研究課題「アンモニア燃料電池」として実施されている。京都大学、ノリタケカンパニーリミテド、三井化学、トクヤマは共同研究により、アンモニア燃料電池の世界最大規模の発電に成功した。

研究の内容

直接アンモニアSOFCの原理図

直接アンモニアSOFCの原理図

今回、アンモニアを直接燃料として供給できる独自のSOFCスタックを開発し、アンモニアを直接供給した発電に成功した。

SOFCは、700~900度で動作する酸化物セラミックスを構成材料とする燃料電池。発電効率が高く、天然ガスからの発電でその有効性が確認されている。燃料極、電解質、空気極から構成され、燃料には水素のほか一酸化炭素などが使用される。

今回の直接アンモニア燃料電池は、電解質の片面に取り付けた燃料極に発電の燃料となるアンモニアガスを直接供給し、反対側の空気極に空気を供給することによって、両極の間で電力を発生させる原理に基づいている。

今回の技術はこの燃料電池単セルを積層した200WクラスのSOFCスタックへ直接アンモニアを供給し、発電したもの。アンモニア燃料に適用するための各種部材を選定し、アンモニア燃料専用の新規SOFCスタックを開発した。アンモニア燃料は、部材の接合部からリークすると、配管部が腐食したりするという課題があった。このたび、アンモニア燃料を、リークなく封止できる特殊なガラスを開発できた(ノリタケカンパニーリミテドが担当)。その結果、アンモニア燃料を直接供給しても、高い発電能力を有するスタックを実現した。

本スタックに、直接アンモニア燃料を供給して発電を行ったところ、純水素と比較して、同等レベルの良好な発電特性が確認された。また、燃料電池の直流発電効率は255Wにおいて53%(LHV)が達成された(燃料電池に供給したアンモニアの低位発熱量に対する直流発電出力)。

【参考】
京都大学 - アンモニアを燃料とした燃料電池による発電

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