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新しい電力事業者の数 2011年→66社、2014年→3283社

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新しい電力事業者の数 2011年→66社、2014年→3283社

2014年(1~12月)に全国で新設された電力事業者は3,283社で前年比1.8倍、2011年(66社)と比べると49.7倍と大幅に増えたことが、東京商工リサーチの調べでわかった。

2012年7月に導入された再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を契機に、発電などを目的にした法人設立の動きが相次いでいるが、2014年も引き続き増加傾向がみられた。

一方、本調査レポートでは、政策に連動するかたちで全国に広がり、「開業バブル」の様相を呈した再生可能エネルギービジネスも、買取価格の段階的に引き下げ、FIT自体の見直しの議論等を受け、踊り場に差し掛かっていると指摘する。

本調査レポートは、東京商工リサーチが、同社の企業データベース(対象398万社)から、2010~2014年に新しく設立された法人データのうち、日本標準産業分類に基づく中分類「電気業」を抽出し分析したもの。概要は以下のとおり。

11~12月は駆け込み設立で急増

2014年に全国で新しく設立された法人(新設法人)11万9,552社のうち、電力事業者は前年比1.8倍増の3,283社(前年比82.6%増、前年1,797社)にのぼった。

2010年以降の5年間でみると、新設法人数は東日本大震災・原発事故が発生した2011年から増加をたどり、FITが導入された2012年から増加が目立った。2014年は2013年を上回るペースで推移し、特に11月~12月は前年同月比で2~3倍に急増した。これは2015年4月の再生可能エネルギーの買取価格の引き下げを前に、設備認定を受けるための申請の前段階として法人設立を急いだことが背景にあるとみている。

利用エネルギー別:太陽光関連が7割

新設法人3,283社のうち、「太陽光、ソーラー」関連事業は2,536社(構成比77.2%)で約8割を占め突出した。太陽光発電による売電事業などが中心で、前年(1,244社、構成比69.2%)から太陽光関連事業がさらに増勢を強めた。次いで、「風力」(251社、同7.6%)、「水力」(122社、同3.7%)、「バイオ」(84社、同2.5%)と続く。FIT開始が電力事業者の新規参入を後押ししている。

利用エネルギー別では当然、太陽光発電が大半を占める

利用エネルギー別では当然、太陽光発電が大半を占める

法人格別:「合同会社」が約3倍増 過半数を超える

個別の発電所の事業運営を目的にSPC(特定目的会社)として利用される合同会社が増えた

個別の発電所の事業運営を目的にSPC(特定目的会社)として利用される合同会社が増えた

3,283社のうち、資本金別では「1百万円未満」が1,805社(構成比54.9%)と過半数を占めた。また、1千万円以上は232社(同7.0%)で、このうち1億円以上は65社(同1.9%)にとどまった。

少額資本金での法人設立が目立ち、前年との増加率でみても資本金が少額になるにつれて増加率が高い。参入障壁の低さが法人設立を後押ししているようだ。

地区別:関東・近畿・九州で7割超 北海道を除く地区は前年比増

本社所在地の地区別では、関東が1,440社(構成比43.8%)、近畿585社(同17.8%)、九州434社(同13.2%)と続き、上位3地区で7割を超えた。日照条件の良さと遊休地の多さから、メガソーラー(大規模太陽光発電所)事業が集積する九州地区での設立が多いのが特徴。

ただ、増減率では近畿地区(前年比277.4%増)が前年比4倍に迫る伸びをみせたほか、中部(同116.7%増)、四国(同108.5%増)も前年比2倍を超えた。北海道だけが2011年以降、地区別では唯一前年を下回ったが、2014年も全国的に電力事業者の新設の動きが続いた。

都道府県別:44都府県で前年比増加

都道府県別では、東京都が880社(構成比26.8%)で突出した。次いで、兵庫県389社(同11.8%)、大阪府128社(同3.9%)、愛知県123社(同3.7%)、神奈川県121社(同3.6%)と続き、100社以上は7都府県だった。

一方、新設法人数が最も少なかったのは鳥取県の5社。次いで、富山県8社、福井県が9社と日本海側3県は10社未満だった。前年比の増減数では、北海道、石川県、佐賀県を除く44都府県が増加。このうち、前年比2倍以上の増加は16県にのぼった。

法人格別:「合同会社」が約3倍増 過半数を超える

法人格別では「合同会社」が1,819社(構成比55.4%)で最多だった。続いて「株式会社」が1,337社(同40.7%)と続き、合同会社と株式会社で全体の96.1%を占めた。特に、合同会社は前年比で約3倍増と突出し、2010年以降初めて設立数が株式会社を上回った。

合同会社は株式会社よりも設立コストが低く、決算公告を必要としない点や意思決定の際に株主総会を開催する義務等がないことから、スモールビジネス向けに近年、拡がりをみせている。電力事業者の場合、個別の発電所の事業運営を目的にSPC(特定目的会社)として利用され、メガソーラー関連の企業などが同一住所に複数の合同会社を設立するケースが多い。合同会社の設立増が電力事業者の新設法人数の増加の底上げに繋がっている。

まとめ

2012年7月に導入されたFITを契機に、電力関連を事業目的とする新設法人が急増しており、今回の調査結果も改めて関心の高さを示すものとなった。

ただ、再生可能エネルギーの買取価格の固定化が電気料金のコストアップに繋がっている側面も指摘され、買取価格は段階的に引き下げられている。2014年には電力会社各社が一部の再生可能エネルギーの買い取りを一時的に見合わせたことで業界に混乱が広がった。制度自体の見直しが議論されるなか、電力事業者にはコスト面での折り合いが大きな課題として浮上している。また、2014年は2015年4月以降の買取価格の引き下げに備えた駆け込みの法人設立がうかがえ、設立しても稼働に至らないケースが相当数あるとみている。

政府は2030年までに再生可能エネルギーの比率を全発電量の20%まで高める目標のもと、FITを導入した。福島第一原発事故後、原発の相次ぐ稼働停止で再生可能エネルギーへの視線はさらに高まりをみせた。一方、2015年8月、川内原発(鹿児島県)が東日本大震災後の新規制基準で初めて再稼働し、1年11カ月ぶりに国内で原発による発電が再開された。

前述のとおり、再生可能エネルギービジネスも踊り場に差し掛かっているとし、将来像を描けない電力事業者の淘汰の可能性も否めず、政策による後押しが今後の大きな焦点となっているとしている。

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