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太陽エネルギーの24.4%を水素に変換成功 東大などが集光型太陽電池で実現

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太陽エネルギーの24.4%を水素に変換成功 東大などが集光型太陽電池で実現

東京大学と宮崎大学は17日、高効率太陽電池の電力で水を電気分解するシステムを構築し、太陽光エネルギーの24.4%を水素に蓄えることに成功したと発表した。これは世界最高効率である。

本研究グループは、宮崎大学の屋外試験場に設置した新型の高効率集光型太陽電池に高分子膜を用いた水の電気分解装置を接続し、実際の太陽光下で安定的に水素を製造することに成功した。

これまでの光触媒を用いた太陽光からの水素製造では、太陽光から水素へのエネルギー変換効率は10%未満であった。本研究により、限られた面積で効率よく太陽光から水素を得ることが可能になる。

このシステムに用いられる太陽電池と電気分解装置はすでに市販されており、設置条件に合わせたシステム設計により太陽光由来の水素を高効率に製造することが現在の技術で実現可能である。集光型太陽電池は通常の太陽電池に比べて高価だが、海外の高照度地域では発電効率が高い分発電コストを低減でき、米国エネルギー省が目標とする水素コスト1kgあたり4ドル以下へのコスト低減が見込まれる。

また将来は、集光型太陽電池と水の電気分解による安価な水素を海外で大規模に製造して日本に運搬することで日本の化石燃料を太陽光水素で代替することが期待される。

海外で製造した安価な太陽光水素を日本に輸送して再生可能エネルギーとして利用するモデル

海外で製造した安価な太陽光水素を日本に輸送して再生可能エネルギーとして利用するモデル

本研究の概要は以下のとおり。

研究の背景・先行研究における問題点

水素は自動車などのクリーンな燃料として今後の需要増大が見込まれるが、現在は化石燃料から製造されている。今後、日本の再生可能エネルギー依存度を高めるためには、太陽光から効率よく低コストで水素を生成する技術が求められている。

これまで研究されてきた光触媒を用いた太陽光水素の製造では、太陽光から水素へのエネルギー変換効率は10%未満であった。また先月、オーストラリアのグループが、集光型太陽電池と水の電気分解装置の組み合わせで太陽光から水素へのエネルギー変換効率22.4%を実現し、注目を集めている。しかし、これらの実験結果は実験室内の模擬太陽光源で得られたものであり、より実用に近い、実際の太陽光下での高効率水素発生の実証が望まれていた。

研究内容

今回の実験では、集光型太陽電池の研究開発拠点となっている宮崎大学において、光学系の設計を改良した住友電気工業製の集光型太陽電池を、THK製のプログラムされたモーターにより、太陽に合わせて向きを制御する、高精度太陽追尾架台に搭載することにより、宮崎の日照条件で発電効率31%を達成した。

集光型太陽電池は、レーザーやLEDなどに用いられる高品質な半導体でできた小型の半導体素子に、レンズで集めた強い太陽光を当てて発電する太陽電池である。レンズなど光学系の設計や、太陽の方向にレンズを正確に向ける追尾に高度な技術を必要とし、実際の屋外環境での発電効率を向上させることは容易ではない。

太陽電池の発電効率は接続する機器の電気抵抗に依存する。今回は、太陽電池と水の電気分解装置の電流電圧特性を考慮して直列接続数を最適化することで、31%の高効率で発電した電力をほぼ損失ゼロで電気分解装置に導入できた。今後、集光型太陽電池の発電効率は35%まで向上すると見込まれ、水の電気分解における電力から水素へのエネルギー伝達効率80%を考慮すると、太陽光から水素へのエネルギー変換効率は28%に達すると予想される。

今後は、集光型太陽電池の一層の効率向上と低コスト化、日照条件に合わせて太陽電池と水の電気分解装置の接続を逐次最適化する回路の開発が必要である。

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