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国産材からすごいバイオマス素材を作る技術 「森林科学分野のノーベル賞」受賞

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国産材からすごいバイオマス素材を作る技術 「森林科学分野のノーベル賞」受賞

NEDOは、東京大学大学院農学生命科学研究科磯貝明教授らが、アジアで初めてマルクス・ヴァーレンベリ賞を受賞し、9月28・29日にスウェーデン・ストックホルムで授賞式が行われたと報告した。

マルクス・ヴァーレンベリ賞は、森林・木材科学分野におけるノーベル賞とも呼ばれる権威ある賞である。今回の受賞は、国産未利用針葉樹材から得られる木材セルロースから、TEMPO酸化触媒(※1)を用いて高効率にセルロースシングルナノファイバー(CSNF ※2)を生成する革新的な研究等によるもの。NEDOプロジェクトでは、CSNFの産業応用に取り組み、本分野における世界的な研究拡大の先駆けとなった。

今回、磯貝明教授とともに、同研究科の齋藤継之准教授、元・同研究科助教で現フランス国立科学研究庁植物高分子研究所上級研究員の西山義春博士が同賞を受賞した。授賞式には3名が揃って参列した。

NEDOプロジェクトの概要

NEDOプロジェクトでは、磯貝教授ら研究チームの成果を活用して、産業分野への応用研究を行った。CSNFは結晶性と柔軟性を併せ持ち、バイオマス素材で高ガスバリアフィルムの作製を可能とした。また、CSNFは強くて軽いため複合材料の強化に有効なほか、液体のレオロジー特性の改質にも寄与するなど、応用可能な範囲は広く、増粘剤、金属担持シートなどその特長を生かした新規な用途開拓を行い、化学薬品の安定剤、エレクトロデバイス、各種フィルター、抗菌・脱臭シートなどでの利用も期待されている。

本受賞者に関係する主なNEDOプロジェクト

事業名

セルロースシングルナノファイバーを用いた環境対応型高機能性包装部材の開発

事業期間

2007~2009年度

予算総額

2億円

事業名

セルロースシングルナノファイバーを用いた環境対応型高機能性包装部材の実用化技術開発

事業期間

2010~2012年度

予算総額

3億円

マルクス・ヴァーレンベリ賞について

1980年にストラ・エンソ社によって創立されたヴァーレンベリ財団が、1981年にマルクス・ヴァーレンベリ賞を創設。森林・木材科学分野、関連生物分野において独創的かつ卓越した研究成果、あるいは実用化に大きく貢献した功績を対象に、毎年1名または1グループを表彰している。

【用語解説】

※1 TEMPO酸化触媒
樹木は、セルロース分子からできており、幅がナノレベル(3~4nm)の極細繊維であるセルロースミクロフィブリルから構成されている。しかし、強固に結合しているため、これまで低エネルギーで完全に解繊することはできなかった。TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒を用いた特殊な酸化反応を使用するとミクロフィブリルの表面がイオン化し、その静電反発によって水中で容易にナノ分散が可能になる。磯貝教授らの見出したこの方法は、従来法の機械的解繊に比べエネルギー消費を劇的に低減できるだけでなく、生成されたナノファイバーの均質性も向上する。

※2 セルロースシングルナノファイバー(CSNF)
セルロースの構成単位であるセルロースミクロフィブリルまで解繊されたナノファイバーをシングルナノファイバーと呼んでいる。

【参考】
NEDO - アジア初、マルクス・ヴァーレンベリ賞を受賞

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