> > 海運業、温室効果ガスをどう削減する 日本とEU、対策の協力で一致

海運業、温室効果ガスをどう削減する 日本とEU、対策の協力で一致

記事を保存
海運業、温室効果ガスをどう削減する 日本とEU、対策の協力で一致

国土交通省およびEU欧州委員会運輸総局海事局は、2月23日、ベルギー・ブリュッセルにおいて開催した「第9回日EU海事政策対話」で、国際海運からの温室効果ガス排出削減対策の協力について一致した。

具体的には、船舶の燃費報告制度に係るMARPOL条約(海洋汚染防止条約)改正に向けて協力する。MARPOL条約は、船舶の航行に起因する環境汚染(油、有害液体物質、危険物、汚水、廃棄物及び排ガスによる汚染等)を防止するため、構造設備等に関する基準を定めた国際条約。今後、IMO(国際海事機関)において、燃費報告制度の導入に向けた同条約改正の審議が行われる予定。

国土交通省は3日、本政策対話の結果概要をとりまとめ報告した。主な協議結果は以下のとおり。

(1)国際海運からの温室効果ガス排出削減対策

IMOにおける船舶の燃費規制強化および燃費報告制度の導入に関する審議について、双方が協力していくことで一致した。また、EUにおける燃費報告制度に係る地域規制に関し、国際的な燃費報告制度導入時の国際規制への整合について、日本から申し入れを行った。

(2)SOx(硫黄酸化物)規制およびLNG(液化天然ガス)燃料船

LNG燃料船に関する日・EU双方の取り組み状況について情報交換するとともに、今後のSOx規制開始に際し検討すべき技術的課題があることを確認した。

天然ガス燃料船について

天然ガスは重油と比較して、CO2、NOx(窒素酸化物)、SOxの排出量が少なく環境性能が優れる。海事産業界でも、天然ガスを燃料とする船舶(天然ガス燃料船)の実用化が期待されている。しかし、天然ガス燃料船は、ハード面・ソフト面の安全基準等が未整備であるため、現状において、天然ガス燃料船を建造する際には個船ごとに安全評価を行うなどケースバイケースの対応が必要となる。そのため、海運事業者(船主)においては、実船建造のための最終判断材料が整わず、これらが最終的な天然ガス燃料船の建造の妨げとなっている。

(3)シップリサイクル

シップリサイクル条約の早期発効に向けて日・EU双方で努力することについて、意見を一致させた。また、EU域内規則に関して、EU域外のシップリサイクル施設やEUに寄港する非EU籍船舶に与える影響について日本から懸念を表明した。

シップリサイクル条約について

「シップリサイクル条約(2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約)」は2009年5月に採択された。本条約は、「15カ国以上が締結」等、3つの発効要件達成から24カ月後に発効することとなっている。発効後は、対象とする船舶に、船舶に存在する有害物質量や所在を記述したインベントリの作成・維持管理が義務づけられる。また、所管官庁により承認された船舶リサイクル施設でなければ船舶を解体・リサイクルすることができなくなる。2015年12月時点の批准国はノルウェー、コンゴ、フランスの3カ国。本条約の発効に先行して、EUでは、シップリサイクルに関する域内規制が2013年12月発効されている。

(4)船舶バラスト水規制管理条約

日本より、船舶バラスト水規制管理条約の早期発効に向け、EU加盟国の同条約の早期締結を望む旨表明した。

船舶バラスト水規制管理条約について

本条約は、船舶の復原性を保つための「おもし」として船舶に取り入れられる海水であるバラスト水に含まれる生物および沈殿物の排出による環境等への被害を防止するため、IMOにおいて、2004年2月に採択された。

本条約は30カ国の批准およびその合計船腹量が35%を越えた日から12ヵ月後に発効することになっており、一般財団法人日本海事協会によると、現在、47カ国が批准し、その合計船腹量は全世界の商船全体の34.56%となっている(2016年1月18日時点)。

(5)その他

海事分野における安全問題では、船舶検査団体(船級協会)に関するEU規則の適用範囲および船舶の損傷時の復原性指標について日本側から懸念を表明した。また、海事保安に係る国内法制ガイダンスおよびサイバーセキュリティーに関するIMOにおける議論の今後の動向についての意見交換を行った。

物流関係では、日本側が北東アジアにおける物流情報の交換・共有及び技術協力に関する「NEAL-NET(北東アジア物流情報サービスネットワーク)」について、EU側がDTLF(Digital Transport and Logistics Forum)について発表し、今後の方向性や詳細を情報交換した。

日EU海事政策対話について

本政策対話は、日本とEUの海事当局者の間で相互に関心のある海事政策に関する事項について情報・意見の交換を行うことを目的として、2005年から開催されている。日本は国土交通省海事局が、EUは欧州委員会運輸総局海事局がそれぞれ事務局を務め、双方の局長級が共同議長となる。

今回は、日本側からは加藤光一国土交通省大臣官房技術審議官(海事局担当)ほか、EU側からはフォティス・カラミトス欧州委員会運輸総局海事局長ほかが出席した。

【参考】
国土交通省 - 第9回日EU海事政策対話の結果概要について

関連セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

プレスリリースを受け付けております

環境ビジネスオンラインでは、皆様からの環境に関する情報をお待ちしています。

新製品・新サービス、研究内容、法令情報、イベント・セミナー、海外の環境ビジネス情報など、お気軽にお寄せ下さい。お送り頂いた内容を、編集部にて拝見いたします。

こちらから、必要事項をご記入ください

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.