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電力取引、「誤解を招く情報提供」や「相場操縦」は問題行為 政府が指針発表

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経済産業省の電力取引監視等委員会は、4日に開催した第22回委員会で、4月の電力小売りの全面自由化などを踏まえて、公正取引委員会と共同で策定している「適正な電力取引についての指針」について改正内容を取りまとめ、本指針の改定を経済産業大臣に建議した。

本指針の改正では、「小売分野」「卸売分野」「託送分野など」「他のエネルギーと競合する分野」における適正な電力取引の在り方についてまとめている。

小売分野における適正な電力取引の在り方では、問題となる行為として、小売電気事業者による需要家の誤解を招く情報提供や、広域機関・一般送配電事業者がスイッチング支援システムの運営などで小売電気事業者を公平に取り扱わないことをあげている。

卸売分野における適正な電力取引の在り方では、問題となる行為として、インサイダー情報(認可出力10万kW以上の発電ユニットの計画外停止または計画停止に係る事実等)の公表前にこれと関連する卸取引を行うことや、市場相場をつり上げることを目的として相場操縦を行うことを禁じている。

電気事業法に関する本指針の主な改定内容は、以下のとおり。

1. 小売分野における適正な電力取引の在り方

(1)望ましい行為

  • 電気料金の透明性の確保の観点から、小売電気事業者は需要家への請求書、領収書等に託送供給料金相当支払金額を明記すること。
  • 電力広域的運営推進機関(以下「広域機関」)および一般送配電事業者がスイッチングの申込み状況に応じて対応能力を増強し、スイッチングが適切に行われる環境を確保すること。

(2)問題となる行為

  • スイッチング支援システムに係るルール整備やシステムの運営において、広域機関および一般送配電事業者がすべての小売電気事業者を公平に取り扱わないこと。
  • 小売電気事業者が需要家の誤解を招く情報提供(例えば、当社の電気は停電しにくい等)により自己のサービスに需要家を不当に誘導すること。

2. 卸売分野における適正な電力取引の在り方

(1)考え方

  • 電気事業の健全な発達を図る観点から、他の小売電気事業者が新たに需要拡大をする場合に、その量に応じて一定割合(特高・高圧需要:3割程度、低圧需要:1割程度)の常時バックアップが確保されるような配慮を区域において一般電気事業者であった発電事業者(一般送配電事業者の供給区域において一般電気事業者であった発電事業者のこと)が行うことが適当である。
  • 常時バックアップは、区域において一般電気事業者であった発電事業者等(親会社、グループ内の小売電気事業者を含む。)が、当該発電事業者等及びその関連会社(議決権の3分の1以上を有する発電事業者等)が支配的な卸供給シェア(50%以上が一つの目安)を有する一般送配電事業者の供給区域において、他の小売電気事業者に対して行う。

(2)望ましい行為
  • 卸電力市場におけるインサイダー取引や相場操縦を防ぐため、内部的な取引監視体制を構築すること。

(3)問題となる行為

  • インサイダー情報(認可出力10万キロワット以上の発電ユニットの計画外停止又は計画停止に係る事実等)を知った電気事業者が、正当な理由なく、当該インサイダー情報の公表前に、当該インサイダー情報と関連する卸取引を行うこと等。
  • インサイダー情報の公表を行わないこと。
  • 相場操縦を行うこと(例えば、市場相場をつり上げることを目的として行う濫用的な買い占めを行うこと、本来の需給関係では合理的に説明することができない水準の価格につり上げるために売惜しみを行うこと等)。

3. 託送分野等における適正な電力取引の在り方

(1)考え方

  • 小規模事務所や山間部等における水力発電所等において、業務運営の効率性が著しく阻害される場合には、一般送配電事業者又はそのグループ内の発電部門又は小売部門の従業員が託送供給等業務を行うこと、又は託送供給等業務を行う従業員が発電部門又は小売部門の業務を行うことを妨げるものではない。

(2)望ましい行為

  • 一般送配電事業者において送配電等業務を行う部門が、自己又はグループ内の発電部門又は小売部門の業務を行う場合に、当該業務に相当する他の発電事業者又は小売電気事業者の業務について、委託に応じ実施することが可能な業務を公表し、委託を希望する事業者との協議を踏まえた上で、合理的な範囲でその業務を受託し、実施すること。
  • 一般送配電事業者において送配電等業務を行う部門がその業務を、自己又はグループ内の発電部門又は小売部門に実施してもらう場合に、他の発電事業者又は小売電気事業者に委託することも含め、その実施主体を募集するなどにより、効率性・公平性を考慮した上で決定し、その実施主体が実施すること。

(3)問題となる行為

  • 一般送配電事業者が送配電等業務を実施するために需要家と需給調整契約を締結する際に、自己又はグループ内の小売部門の需要家であるか他の電気供給事業者の需要家であるかにより不当に差別的に取り扱うこと。
  • 一般送配電事業者が、転居等により新たに電気供給事業者を検討中の需要家に対する情報提供において、自己又はグループ内の小売部門の情報のみを提供するなど、自己又はグループ内の小売部門と他の電気供給事業者とを不当に差別的に取り扱うこと。
  • 代表契約者制度(バランシンググループを構成する複数の小売電気事業者と一般送配電事業者が一の託送供給契約を締結し、複数の小売電気事業者間で代表契約者を選定する仕組み)に関し、一般送配電事業者が、正当な理由なく、特定の小売電気事業者を代表者とする代表契約について、協議を拒むこと等。

4. 他のエネルギーと競合する分野における適正な電力取引の在り方

(1)望ましい行為

  • オール電化等に関し、電気供給約款及び選択約款の運用が恣意的に行われているとの疑念を招きやすいものについて、合理的かつ客観的な運用基準を定めて公表することを望ましい行為としていたが、オール電化等が原則として自由料金となることを踏まえ、当該記載を削除。

(2)問題となる行為

  • 屋内配線工事に関する負担等に関して、一般送配電事業者が、オール電化等の需要家であるかにより不当に差別的に取り扱うこと。

経済産業省は、公正取引委員会と共同して、「適正な電力取引についての指針」を策定している。

本年4月1日から「電気事業法等の一部を改正する法律」(第2弾改正)が施行され、小売参入が全面自由化されるとともに、一般電気事業や特定規模電気事業という区別に代わって、小売電気事業、一般送配電事業、発電事業等の電気事業の類型に応じた規制が課される。これらのこと等を踏まえ、本指針についても改定を行い、電気事業の各類型に応じた適正な電力取引の在り方を示すことが必要になった。

電気事業法に関する本指針の具体的な改定内容については、2015年10月以降、制度設計専門会合において審議を行った。また、独占禁止法に関する本指針の具体的な改定内容については、公正取引委員会において並行して検討が進められた。

経済産業省と公正取引委員会は、本指針の改定案について、2015年12月17日から2016年1月19日にかけて、パブリックコメント手続を実施。寄せられた意見のうち電気事業法に関する意見を検討し、必要な技術的修正等を行った。

電力取引監視等委員会は、4日の第22回委員会で、パブリックコメント手続の実施後の修正を経た本指針の改定案について審議し、改正内容を取りまとめ、電気事業法に基づき、本指針を改定することを経済産業大臣に建議した。

なお、本指針は公正取引委員会との共同の指針であるため、建議資料については、公正取引委員会による本指針改定案の公表後に掲載する。

【参考】
電力取引監視等委員会 - 「適正な電力取引についての指針」の改定に関して建議いたしました

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