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小売電気事業者、199社のうち異業種参入が7割 東京商工リサーチが調査

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小売電気事業者、199社のうち異業種参入が7割 東京商工リサーチが調査

東京商工リサーチは、4月以降に一般家庭への電力販売が可能となる「小売電気事業者」として、経済産業省が2月23日までに事前登録した199社について、同社の企業データベースをもとに経営調査・分析を行った結果を発表した。

新規参入組は約6割が中堅以上

新設企業などを除き、直近決算が判明した登録事業者141社のうち、売上高100億円以上は66社(構成比46.8%)にのぼった。売上高10億円未満は約1割で、新規参入組は中堅以上が目立った。特に、売上高50億円以上の中堅規模以上が82社(同58.1%)と半数を超えている。高い知名度や豊富な事業基盤を背景に、新規市場を有利に展開したい意図がうかがえる。

なお、売上高が判明しない企業(58社)の大半は、電力小売事業のために新設された法人で、事業化に伴い本格的な営業活動を始めるとみられる。

売上高ランキング1兆円超えが12社

直近決算が判明した登録事業者141社のうち、単体ベースの売上高1兆円超の大企業は12社(同8.5%)。売上高ランキングでトップは、石油元売最大手のJXエネルギーで、ガソリンスタンド「ENEOS」を絡めた割引サービスなどを打ち出している。以下、丸紅、伊藤忠商事三井物産の総合商社が続き、上位12社までが売上高1兆円以上だった。

ランキング上位には入らないが総合商社の三菱商事は、コンビニ大手のローソンと提携して設立した共同事業会社、MCリテールエナジー(東京都港区)を通じて参入。また、住友商事も100%出資子会社のサミットエナジー(東京都中央区)がケーブルテレビ最大手のジェイコムグループと提携した。大々的な広告宣伝で通信料とのセット割を打ち出すソフトバンクグループは、東京電力と業務提携して販売活動を展開する。また、上場企業は199社中24社(構成比12.0%)で、このうち東証1部上場が21社を占めた。

異業種からの参入7割

登録事業者199社の本業を業種別にみると、電気業が63社(構成比31.6%)と最多だったが、全体の3割にとどまっており、異業種からの参入が7割を占めた。電気業の内訳をみると、これまで大口需要家向けに販売してきた「特定規模電気事業者(新電力)」や電力小売の全面自由化に備えて新設された企業が中心。

異業種参入組では放送業29社(同14.5%)、ガス業17社(同8.5%)など、地域に知名度が浸透している企業が目立った。放送業29社のうち、25社がケーブルテレビ最大手のジェイコムグループの地域会社が占める。このほか、エネルギー供給という面でノウハウを有し、従来業務とのセット契約の販売も見込めるガス会社など、消費者向けビジネスモデルに長けた業種からの参入が多いのが特徴となっている。

本業の産業別内訳は、電気業とガス業が含まれるサービス業他が107社(構成比53.7%)で約半数にのぼった。以下、情報通信業35社(同17.5%)、卸売業25社(同12.5%)、製造業13社(同6.5%)、小売業12社(同6.0%)と続き、農・林・漁・鉱業と金融・保険業からの参入はゼロだった。

登録小売電気事業者199社 産業別 登録小売電気事業者 業種別上位

登録小売電気事業者199社 産業別 登録小売電気事業者 業種別上位

業歴別2015年に設立された登録事業者が28社

業歴別で最も多かったのは業歴10~50年未満の83社(構成比41.7%)だった。また、業歴5年未満の登録事業者55社のうち、2015年に設立された登録事業者は28社(同14.0%)にのぼった。電力小売の全面自由化に合わせて新設された企業が中心で、今後の営業展開が注目される。

※法人設立日から現在までを業歴と定義した。

登録小売電気事業者199社 業歴別

登録小売電気事業者199社 業歴別

地区・都道府県別本社所在地は東京に集中

本社所在地を地区別でみると、関東が125社(構成比62.8%)と約6割を占め、以下、近畿26社(同13.0%)、九州19社(同9.5%)と続く。関東では東京都が90社にのぼり、199社の半数近く(同45.2%)を占めた。一方、北陸はゼロ、東北は2社(同1.0%)、四国は3社(同1.5%)と登録事業者が極端に少なく、地域差が大きかった。

資源エネルギー庁の公開資料によると199社のうち、少なくとも10社以上は電力供給予定地を全国および沖縄県を除く全国としているため、地区内に登録事業者がなくてもサービスを受けられる可能性はある。ただ、現状では人口が集中する都市圏の選択肢が豊富なだけに、都市圏と地方との地域格差を抱えてスタートすることになりそうだ。

登録小売電気事業者199社 地区別 都道府県ランキング

登録小売電気事業者199社 地区別 都道府県ランキング

分析のまとめ

経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」の集計によると、4月1日以降、電力の購入先の変更を申請した件数は全国で約23万4,000件にのぼる。このうち、東京電力・関西電力管轄が全体の95.7%を占める。今後、サービス地域が拡大し、地方への波及が進めばさらに申請件数は伸びる見込み。

一方、PPS(新電力)5位の日本ロジテック協同組合が2月25日、登録を取り下げて電力小売事業から撤退した。自前の発電施設をもたず、電力の仕入価格に左右されることから利幅が薄く、急成長が慢性的な資金不足を招いた。本レポートでは、一般家庭向けの電力小売事業も構造は同じと指摘する。

電力小売事業は参入バブルの様相もみせるが、新規市場の競争は厳しい。独自色を打ち出せず差別化できない登録事業者や、資本背景に乏しい中堅以下の登録事業者は過当競争に巻き込まれかねない。鳴り物入りでスタートする電力小売の全面自由化だが、競争原理が働くだけに、登録事業者の早々の撤退や廃業、倒産などを想定した対応も問われている。

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