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藻から作るバイオ燃料、東大が生合成メカニズムの一端を解明 効率化に期待

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藻から作るバイオ燃料、東大が生合成メカニズムの一端を解明 効率化に期待

東京大学は、バイオ燃料源として期待される微細緑藻から、油の生産に関わる新しい酵素遺伝子の特定に成功したと発表した。本成果は、効率の良いバイオ燃料生産技術の開発に役立つことが期待される。

本研究で、東京大学は、米国テキサスA&M大学およびアリゾナ大学との共同研究により、微細藻類の一種ボトリオコッカス・ブラウニ(Botryococcu braunii、以下、B.braunii)のL品種から、炭化水素「リコパジエン」の生合成に関わる新規酵素を特定し、今まで全く不明だったリコパジエンの生合成メカニズムの一端を明らかにした。

なお、本研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の一環として行われた。

今回解明されたのは「L品種」のメカニズム

微細藻類の中には、再生産可能な燃料源として注目されている種類がある。光合成で固定した二酸化炭素を、多量の油に変換して蓄積するためである。しかし、その油の生産機構は不明な点も多く、商業的燃料生産にはいたっていない。

B.brauniiは世界各地の淡水に住む単細胞性の微細緑藻で、光合成により固定した炭素を、液状炭化水素に変換して蓄積する。その炭化水素含量は、株によっては乾燥重量の数十%にも達することから、燃やしても大気中の二酸化炭素量を増加させない、再生産可能な代替燃料としての利用が期待されている。

本藻種には、生産する炭化水素(油)のタイプが異なる「A」、「B」、「L」の3品種があり、L品種はリコパジエンと呼ばれる炭素数40の炭化水素を生産する。

B. braunii 3品種が生産する炭化水素の平面構造

B. braunii 3品種が生産する炭化水素の平面構造

L品種の炭化水素含量は、乾燥藻体重量の数%程度であり、B.brauniiのAおよびB品種に比べると低いが、それでも一般的な微細藻類の炭化水素含量よりも高く、かつ、リコパジエンは枝分かれした分子構造をしているため、燃料源として魅力的である。B品種における炭化水素生合成酵素遺伝子は過去に特定されているが、L品種の炭化水素生合成機構は全く分かっていなかった。

リコパジエンは炭素数40で、分子内に2つの二重結合を有する対称形をしている。その構造から二つの生成経路が考えられた。そこで、L品種の炭化水素組成を精査し、リコパジエンは、炭素数20で二重結合を4つ有するゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)が2分子縮合して、まず二重結合を8つ有するリコパオクタエンが作られ、その後、段階的に二重結合が還元されて最終的にリコパジエンまで変換される経路により生成することが示された。

次にGGPPを基質としてリコパオクタエンを生成する酵素を特定するために、L品種のトランスクリプトーム解析(※1)等を行った結果、リコパジエンは、炭素数30のスクアレンという炭化水素を生産する酵素と非常に良く似た酵素により作られることがわかった。

今回の研究により、B.brauniiのL品種がリコパジエンを生産するメカニズムの重要なステップが明らかにできた。今後、さらに研究を進めることにより、L品種における炭化水素生合成の全体像を解明できることが期待される。

※1:トランスクリプトーム解析…ゲノムDNA上に記録されている遺伝子情報の内、ある状態の細胞においてメッセンジャーRNAとして発現しているものにつき、網羅的にそれらの塩基配列および存在量を調べること。

【参考】
JST - バイオ燃料として期待される微細緑藻から新規炭化水素生合成酵素遺伝子の特定に成功

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