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2016年夏の電力、安定供給可能な見込み 関西電力も原発なしで予備率6%以上

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2016年夏の電力、安定供給可能な見込み 関西電力も原発なしで予備率6%以上

経済産業省は、8日に開催した電力需給検証小委員会(第14回)で、今夏の電力需給見通しを示した。これによると、今夏の電力需給は、電力間における融通を見込まずとも、いずれの電力会社においても電力の安定供給に最低限必要な予備率3%以上を確保できる見通し。

今後、同委員会で、今夏の需給見通しと2015年度冬季需検証の結果等をとりまとめ、これを踏まえて、政府で今夏の需給対策を決定する。

今夏の需給見通しでは、原子力発電については、九州電力が、川内原子力1,2号機(178万kW)を供給力として見込んだ。関西電力では、大津地方裁判所において3月9日に、高浜原子力発電所3、4号機(福井県高浜町)の再稼動禁止の仮処分命令が出されたことを受けて、原発の稼働はゼロとなった。しかし、今夏の7月、8月の需給見通しでは、それぞれ予備率6.9%、6.8%を確保できる見通しだ。

需給検証では、需要については、基本的に2010年度夏季並みの猛暑(東京・中部電力管内は2015年度、関西・九州電力管内は2013年度)を想定し、これに節電の定着状況、需要の離脱、直近の経済見通し等を反映した。供給については、各電源について、供給力として確実に見込めるかどうかを精査しつつ、可能な限り供給力を積み上げ、各電力会社間の電力融通も加味した。

今夏需給の見通し(残余需要最大時)

太陽光発電の導入拡大に伴い、太陽光発電の供給力が見込めなくなる時間帯の需給状況を確認するため、残余需要(需要-再エネ供給力)が最大となる時間帯における需給状況を示した。

関西、九州を除く7電力において、需要の減少が太陽光発電の供給力の減少より大きいか、または太陽光発電の減少分が大きい場合においては、揚水の供給力を積み増すことにより、最大需要発生時と同等の予備率を確保する。他方、関西電力・九州電力については、太陽光発電の供給力の減少分を揚水等による供給力の積み増しで賄いきれないため、予備率は最大需要想定時に比べ減少(関西:▲2.0%、九州:▲4.3%)。それに伴い、中西日本6社計(▲1.2%)および9電力計(▲0.6%)の予備率も減少する(※8月想定)。

新電力への離脱需要の評価

東日本大震災後、新電力への離脱需要の増加が続き、今夏の電力需要見通しにおいては1,000万kWを超える見通し。この4月から電力小売全面自由化が実施されたことを受けて、新電力における供給力、特に離脱需要に対応する供給力についても評価した。

新電力に移行した分も旧一般電気事業者が賄えるよう、評価した

新電力に移行した分も旧一般電気事業者が賄えるよう、評価した

しかし現段階では、新電力の供給力を定量的に確認することができない。そのため、極めて保守的な評価ではあるが、

  1. 各電力が見込んだ新電力への常時バックアップ量
  2. 旧一般電気事業者の予備力のうち、3%を超える分

について着目して、01および02の供給力の合計が、離脱需要を上回っているか否か、確認したところ、少なくとも対応可能な供給力は+1,138万kWとなっている。

震災後の電力需給(電力9社計)

東日本大震災後の電力需給は、原子力発電所の運転停止により供給力は大きく減少したものの、節電等による需要の減少と、火力及び再エネの供給増により一定程度改善した。今夏の需要は、定着節電の増加及び離脱需要の増加などにより、2010年夏季と比べると、2,437万kW減少する見込み。供給力は、火力と再エネの供給増などにより、全体としては2010年夏季と比べると2,584万kWの減少となる見込み。

原子力発電の減少分を、火力発電や再エネの増加、節電で吸収している

原子力発電の減少分を、火力発電や再エネの増加、節電で吸収している

2015年度冬季の需給検証について

2015年度冬季の電力需給見通しでは、厳寒となるリスクを織り込んだ上で、いずれの電力会社においても安定供給に最低限必要な予備率3%以上を確保できる見通しを示していたが、ほぼ想定どおりの結果となった。中国電力では、最大需要発生時刻が昼間帯となったことによる産業用需要の増加などにより、電力需給検証小委員会の見通しを上回った。

供給面における太陽光発電の検証では、最大需要発生日時における太陽光発電による供給実績(9社計)は、日中に最大需要が発生した中部電力、中国電力、九州電力における実績がほとんどを占めている。

太陽光発電の供給力の主な増加要因として、(1)設備導入量の増加、(2)出力比率の増加をあげる。

2015年度冬季は、中部・中国・九州電力管内でのみ、ピーク時間帯が日中であったため、「ピーク時供給力」に太陽光発電が貢献したのは同3社管内だけであった

2015年度冬季は、中部・中国・九州電力管内でのみ、ピーク時間帯が日中であったため、「ピーク時供給力」に太陽光発電が貢献したのは同3社管内だけであった

(1)設備導入量(9社計)については、想定より41.1万kW減となったが、(2)出力比率については、日中に最大需要が見込まれた中部電力以外にも、中国電力および九州電力における最大需要発生時間が日中となったことなどから、ピーク時供給力(9社計)は想定より453.6万kW増となった。

今回の需給検証の進め方について

4月から電力小売参入の全面自由化が実施されたことに伴い、電気事業者の類型が見直された。今後の電力需給は、事業者から届出られる供給計画に基づき、新たに参入した小売電気事業者も含め広域的なバランスの評価を行う必要がある。

新規参入事業者も含めた区域内の需要に対する供給力は、供給計画の届出が揃えば発電所単位で把握できる仕組みとなっている。しかし2016年度供給計画は4月以降順次届け出られることから、今夏の検証には十分に情報が集まらないため、今回は、従来どおり、旧一般電気事業者の需給のみで検証を行った。また、旧一般電気事業者から離脱する需要分に関しては、入手可能な情報を基に評価を行った。

【参考】
経済産業省 - 総合資源エネルギー調査会 電力需給検証小委員会(第14回)

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