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新開発の無線通信技術、IoT用のセンサなどを電池で10年間以上動作可能に

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新開発の無線通信技術、IoT用のセンサなどを電池で10年間以上動作可能に

東芝は、災害の恐れがある自然環境や、老朽化の進む建物、橋梁やトンネルなどを監視するシステムとして、少ないメンテナンスコストで高信頼なデータ収集を実現する無線通信技術を開発したと発表した。

この「省電力無線マルチホップネットワーク技術」は、920MHz帯を用いた無線ネットワーク方式で、広範囲に設置したセンサーのデータを無線中継により99.999%以上の割合で収集でき、10年以上にわたる電池駆動を可能とした。

技術のポイントとして、自律的なメッシュネットワークの形成と低消費電力化をあげる。特別な設定をしなくても、各無線センサーが周囲の状況を自律的に確認し、通信タイミングの調整や、通信経路を形成することで、様々な環境に自動的に適応し、バケツリレー方式で、広範囲な情報を確実に収集できるようにした。また、通信の状況に合わせて不要な待機電力を最小化することで、電池だけで長期間の無線通信を実現した。

この技術の詳細は、北海道大学で開催される電子情報通信学会ソサイエティ大会にて、9月23日に発表される。

同社は本技術をさまざまな自然環境下やビル等に設置し、実証試験を進めるとともに、引き続き、各種センサーを用いた監視に応用していく。

開発の背景と技術の特徴

近年、社会インフラの老朽化や気象災害が問題となっている。そこで事故や災害による被害を軽減するため、対象物にセンサーと通信装置を取り付け、ネットワークを介してデータを収集し監視するセンサーネットワークが注目されている。しかし、過酷な自然環境や人が容易に近づけない場所にも通信装置を設置する必要があり、設置や運用中のメンテナンスが困難という問題があった。また、広い範囲を監視する際に手間がかかるという問題があった。そこで同社は、この問題を解決する無線通信技術を開発した。

通信装置には、免許が不要なため導入が容易で、見通し環境では1kmを超える長距離通信が可能な920MHz帯特定小電力無線機を採用。また、電池駆動型のため通信線や電源線を必要とせず、容易に設置することが可能である。さらに、無線機が送信したセンサーのデータを、周囲の無線機が受信して再送信する中継送信(マルチホップ通信)により、広い範囲のデータ収集を実現している。

通信経路の再選択

データ送信時に通信が途切れた際には、周囲の無線機から通信条件の良い新たな通信相手を再選択しデータを再送する機能を設けており、本機能によりセンサーのデータを99.999%以上の確率で収集することができる(計算機シミュレーションによる測定値)。

時分割通信

また、省電力化対策として、通信タイミングを一致させ、通信不要の時間帯は無線機をスリープさせる時分割通信(※)を採用した。データ収集に必要な無線中継回数と、自身に与えられた装置番号から、自律的に無線機をスリープさせるタイミングを判断できる仕組みを開発し、マルチホップ通信においても長時間のスリープを可能とした。これにより大幅な省電力が実現し、全ての無線機について10年間にわたり電池交換のためのメンテナンスが不要なことを計算機シミュレーション上で確認した。さらに、試作機を用いた16日間の連続通信試験により、これを裏付ける結果を得た。

これらの技術により、920MHz帯を用いた無線ネットワーク方式で、省電力化(電池動作10年以上)と、データ収集率99.999%以上という高い信頼性両立を可能にした。

※時分割通信
センサデータを収集する周期を、複数の細かい時間間隔に細分化し、無線機がいずれかの時間間隔を用いてセンサデータを送信する通信方式を指す。

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