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塗るだけで電子回路を作れる有機両極性半導体、省エネ化に成功

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塗るだけで電子回路を作れる有機両極性半導体、省エネ化に成功

理化学研究所は8日、「単一の材料を塗るだけで複雑なデジタル回路を実現することができる」有機両極性半導体について、大幅に省エネする手法を開発したと発表した。

有機両極性半導体は、その魅力的な性質が認められていながらも、消費電力が大きいというデメリットによってその応用は現実的ではないとみなされてきた。今回開発された手法は、この有機両極性半導体を用いたデジタル回路デバイスの基板にアルキル処理を施すことで、消費電力が大きくなる原因となっていた、無差別に流れる正孔(プラス)、電子(マイナス)のキャリアの種類を制御するというもの。

これにより、この有機両極性半導体のデメリットを解消し、十分な低消費電力化が可能であることを実証した。今後、有機両極性半導体を用いた、次世代に最適な軽量、柔軟、低コスト、省エネルギーなエレクトロデバイスの実現が期待される。

塗るだけでデジタル回路を製作できるように

半導体中ではキャリアと呼ばれる荷電粒子が動くことで電流が流れる。キャリアには、マイナスの電荷を持つ電子とプラスの電荷を持つ正孔の2種類がある。

有機半導体はフレキシブル、プリンタブルであり、ウェアラブルデバイスなどの次世代型デバイスを実現可能な材料として注目されている。有機半導体は、材料の溶液を塗布することにより、容易に、かつ低エネルギーなプロセスで半導体層を形成することができる。さらに、インクジェットや輪転機など既存の印刷プロセスを適用することで大面積化も可能で、製作コストも無機半導体に比べ低いというメリットがある。しかし、デジタル回路を製作するためには、正孔伝導型・電子伝導型の2種類の有機半導体を用意し、それぞれの塗り分けをしなければならず、印刷による回路製作は容易に実現できるものではなかった。

両極性半導体は、正孔、電子の両方のキャリアを利用できるため、1つの材料でデジタル回路を製作することができる。このため、有機半導体と両極性半導体の両方の特性を持つ有機両極性半導体を用いれば、単一の材料を塗布するだけでデジタル回路を製作することができる。しかし、両極性半導体には、電子と正孔が無差別に流れてしまうため消費電力が大きくなる、という致命的な欠点が指摘されており、実際には有用な材料ではないと考えられてきた。

一方2015年に、基板上に製作した単分子膜(アルキルシリル化合物を基板表面と反応させることで得られる1分子分の厚さの極薄膜)が有機半導体中に電荷層を形成し、有機半導体の特性に影響を与えることが報告された。研究チームは、両極性半導体のキャリアの種類を制御する方法として、この電荷層に着目した。

有機両極性半導体デバイスのシリコン基板上に、マイナスに帯電したフッ化アルキルの単分子膜を製作したところ、半導体中にプラスの電荷層が発生し、電子が電荷層に捕集され動けなくなることがわかった。結果として、正孔のみを電導することに成功した。また、プラスに帯電したアミノアルキルの単分子膜を用いることで、電子のみを伝導させることに成功した。このキャリア制御法によって、有機両極性半導体を用いたデジタル回路で、消費電力を大幅に低減できることを実証した。

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