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太陽電池生産時のシリコン切粉、高性能な蓄電池の負極材料にする新技術

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太陽電池生産時のシリコン切粉、高性能な蓄電池の負極材料にする新技術

東北大学と大阪大学は、20日、産業廃棄物のシリコン切粉を高性能なリチウムイオン電池負極材料にリサイクルする方法を共同で開発したと発表した。この負極材料が実用化されれば、スマートフォンやノートパソコン等の電池の高性能化が期待できる。

半導体産業や太陽電池用で使用する大量のシリコンウエハの生産に伴い、産業廃棄物として生産量とほぼ同量の切り屑(シリコン切粉)が発生する。今回実施された研究はこの産業廃棄物を利用したもの。研究成果のポイントは下記の通り。

  • シリコン切粉を薄いナノフレーク状に粉砕することで、高容量かつ長寿命なリチウムイオン電池の負極材料になることが見出された。
  • このナノフレーク状シリコンは、炭素と複合化することで更に性能と寿命が向上し、従来のリチウムイオン電池に使用されている黒鉛の約3.3倍の容量(1200mAh/g)を、充放電を800回以上繰り返しても維持できることがわかった。
  • 全世界でのシリコン切粉の年間発生量は約9万トンであり、リチウムイオン電池負極材料の世界需要を上回っていることから、理想的な資源量といえる。
  • この新材料は、シリコン切粉のナノフレークへの粉砕や、その後の炭素との複合化には大量のシリコンでも処理できる簡便なプロセスで大量生産が可能であるため、リチウムイオン電池への実用化が期待できる。

従来からシリコンを負極材料に利用するための研究は活発に行われてきたが、実用化のためには原料コストおよび製造コストを大幅に抑え、工業化可能な新たな方法を開発する必要があった。今回の研究では安価な原料として産業廃棄物に着目し、開発に成功した。

太陽電池用に製造されるシリコンウエハの製造工程では、投入された多くのエネルギーが無駄に捨てられている

シリコンウエハの製造プロセス

シリコンウエハの製造プロセス

上図からわかるように、シリコンウエハを製造行程では、多段階にわたる高温プロセスがあり、膨大なエネルギーが消費されている。それにもかかわらず、せっかく作った高純度のシリコン単結晶インゴットは、切断の際におよそ半分もの量がシリコン切粉となり捨てられている。

今回の開発を行ったのは、東北大学多元物質科学研究所の西原洋知准教授、京谷隆教授、および大阪大学産業科学研究所の松本健俊准教授、小林光教授らの研究グループ。大阪大学の同研究グループでは、既に、シリコン切粉を高純度シリコンナノ粒子にリサイクルする手法の開発に成功しており、東北大の研究グループでは以前からシリコン負極材料の開発に関する検討を行っていた。そこで 両大学は、共同研究を実施するに至った。

この研究成果は、2017年2月20日に英国のScientific Reports誌にてオンライン公開された。

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