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従来機よりもっと高効率で熱回収可能な吸収冷凍機 日立などが開発成功

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従来機よりもっと高効率で熱回収可能な吸収冷凍機 日立などが開発成功

一重効用ダブルリフト吸収冷凍機「DXS」

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は5月16日、日立ジョンソンコントロールズ空調(東京都港区)と日立製作所(東京都千代田区)が、産業排熱等の利用可能温度をより低温域まで拡大し、従来の約2倍の温度差で熱回収が可能な一重効用ダブルリフト吸収冷凍機「DXS」を開発したと発表した。

今回、両社は、熱駆動ヒートポンプのひとつである従来の一重効用吸収冷凍機にダブルリフトサイクルと吸収液の循環に、吸収冷凍機のサイクルフローのひとつであるパラレルフロー方式を採用し、試作機の設計・製作・試験評価を共同で実施。

その結果、95℃の温水排熱について、従来は75℃までの熱しか回収できなかったところを、より低温域の51℃まで熱回収できる(冷水入口12℃→出口7℃、冷却水入口27℃→出口33℃の仕様の場合)一重効用ダブルリフト吸収冷凍機の開発に成功した。

従来の一重効用吸収冷凍機

従来機が、冷媒の再生に95℃の温水から、75℃までの熱を利用するサイクル例

従来機が、冷媒の再生に95℃の温水から、75℃までの熱を利用するサイクル例

従来の主な設備は、上図に示す4つの熱交換器で構成され、駆動熱源の温水から熱を得て吸収液(LiBr水溶液)から冷媒(水)を再生し、「蒸発→吸収→再生→凝縮」と循環させるサイクルで、蒸発器で冷水を作ることができる。

開発機は、低温再生器、補助吸収器、補助再生器を追加

今回の開発では、この従来機にダブルリフトサイクルを組み合わせた。ダブルリフトサイクル過程で冷水を作る工程は下記の通り。

  1. 低温再生器において、高温再生器で熱回収後の低温となった温水熱で冷媒を再生する。
  2. 補助吸収器において、再生した冷媒を吸収させ補助再生器に送る。(この過程により、冷媒は高濃度・高温の吸収液から低濃度・低温の吸収液に移動する)
  3. 補助再生器において、低温再生器で熱回収した後のさらに低温となった温水熱で冷媒を再生する。
  4. 再生した冷媒(水蒸気)は凝縮器で液化させ蒸発器に送る。
  5. 蒸発器で冷媒を蒸発させることで冷水を作る。
一重効用吸収サイクルに低温再生器、補助吸収器および補助再生器を加えた構成。また、吸収器で蒸発器から蒸発した冷媒を吸収した吸収液は、高温再生器と低温再生器に並行して循環させるパラレルフロー方式を採用した。

一重効用吸収サイクルに低温再生器、補助吸収器および補助再生器を加えた構成。また、吸収器で蒸発器から蒸発した冷媒を吸収した吸収液は、高温再生器と低温再生器に並行して循環させるパラレルフロー方式を採用した。

その結果、95℃の温水排熱について、従来は75℃までの熱しか回収できなかったところを、2回の冷媒再生に利用して51℃まで回収することが可能となった(冷水入口12℃→出口7℃、冷却水入口27℃→出口33℃の仕様の場合)。これにより、低温排熱からの熱回収量が一重効用吸収冷凍機の約2倍に増加される。

温水単位流量当たりの冷熱変換量が倍増

冷熱変換量比較

冷熱変換量比較

ダブルリフトサイクルを採用することで、駆動熱源である温水の単位流量あたりの熱回収量を大幅に増やし、排熱をより多く利用して、冷熱への変換量を従来機に対して約2倍とすることを可能となった。

計算条件は、冷水温度が入口12℃→出口7℃、冷却水温度が入口27℃→出口33℃、温水温度は入口95℃。温水流量は一定として計算した。

温水搬送動力を半減

温水搬送動力比較

温水搬送動力比較

より低温度域までの大温度差熱回収が可能なため、同じ熱量の回収に必要な温水流量を従来よりも減らすことができ、搬送動力を従来機の約半分に削減可能となった。

また、温水循環ポンプのダウンサイジングおよび温水配管の小径化により設備工事費の低減が可能である。

計算条件は、冷凍能力は一定。冷水温度は入口12℃→出口7℃、冷却水温度は入口27℃、冷却水流量 一定。一重効用ダブルリフト温水温度は入口95℃→出口51℃(温度差44℃)。

従来機の一重効用温水温度は入口95℃→出口75℃(温度差20℃)。

廃熱・未利用熱をもっと活用するために

NEDOは、2015年度から「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」を実施している。同事業は、運輸・産業・民生の分野において発生し、排熱として捨てられている膨大な量の未利用熱の3R(Reduce・Recycle・Reuse)を可能とする革新的な要素技術の開発と、システムの確立を目指すもの。

具体的には、産業排熱等の利用可能温度をより低温域まで拡大し、一般空調の冷房用途や、さらに低温を必要とする冷蔵、冷凍用途にも利用可能な低温駆動ヒートポンプの研究開発を実施している。

NEDOは、今後も同プロジェクトの研究開発を推進し、工場の製造プロセスや地域熱供給ネットワーク等、多様な状況で発生している未利用熱の有効活用を可能とする技術の提供を目指す。

また、日立ジョンソンコントロールズ空調は、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(東京都港区)の組合員で、同技術を適用した吸収冷凍機を2017年4月から販売を開始している。

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