
産業技術総合研究所(産総研/東京都千代田区)は3月20日、世界で初めて、ガスからクラックのない1立方センチ級単結晶ダイヤモンドの作製に成功したと発表した。
この成果について産総研は、合成面積のスケールアップが容易なガスを原料とする手法により世界最大級の高品質結晶を作製できたことから、大型ウエハー実現につながる大きな一歩になると評価している。
従来の作製方法の課題を解決
ダイヤモンドは、耐電圧や熱伝導率などの物性値が半導体物質中最高水準であり、パワー半導体への適用など、広範な応用が見込まれている。しかし、現在市販されている単結晶ダイヤモンド基板の作製方法である高温高圧法では、インチサイズの大型ウエハーを作製するには非常に大きなプレス機が必要となり、コストや技術の面から、事実上困難とされていた。
そこで今回、産総研は、ガスを原料とするマイクロ波プラズマCVD法を用いて、単結晶ダイヤモンドを作製した。これは、原料ガスをプラズマにより分解し、生成される活性な原子・分子を基板表面上で反応させて結晶を成長させる方法である。ダイヤモンド合成においては、マイクロ波のパルス化など、長時間安定成長技術より、一度の合成で2~5mmの厚さまでクラックを発生させず連続的に結晶を成長させることに成功した。
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