PFU、資源ごみ自動選別AIエンジン提供を開始 青森の産廃処理業者が導入

  • 印刷
  • 共有
(出所:PFU)
(出所:PFU)

PFU(石川県かほく市)は4月10日より、資源ごみの分別を自動化する「廃棄物分別特化AIエンジン」シリーズを提供開始した。同社のイメージスキャナー開発で培った光学技術・画像認識技術を応用し、自社開発した独自アルゴリズムで廃棄物の分別を自動化する。

なお、この自動選別機は、共創パートナーの高松機械工業(石川県金沢市)の「資源ごみAI自動選別機 AI・B-sort」ですでに採用されているほか、東北6県を中心に産業廃棄物処理を行っている青南商事(青森県弘前市)に導入され、ビン選別工程の自動化が行われている。

「Raptor VISION BOTTLE」が採用された資源ごみAI自動選別機  (高松機械工業製 AI・B-sortイメージ図)(出所:PFU)
「Raptor VISION BOTTLE」が採用された資源ごみAI自動選別機 (高松機械工業製 AI・B-sortイメージ図)(出所:PFU)

自動でビンの色を高精度に識別、中間処理施設の大幅な省人化

シリーズ第1弾として、ビンの色選別を自動化するAIエンジン「Raptor VISION BOTTLE」を提供開始した。ベルトコンベア上を流れてくるビンをカメラで撮影、茶色ビン、透明ビン、その他ビン、 PETボトルを高精度で識別しピッキング位置を特定、ロボット側に通知することで分別する。

AIエンジンによる分別機能の特長は以下の通り。

高精度な認識精度

以下の3つを組み合わせることで、ラベル未剥離や汚れがあるビンも、認識精度99.8%(2023年6月実証実験時点)で色ごとに分別する。

  • 複合照明技術
    独自設計した複数の照明条件を併用し、多種多様なビンの特徴を浮き彫りにする。
  • 特徴融合認識技術
    複数の画像からビンの特徴を融合して認識処理を行う独自の認識アルゴリズムを採用することで、高い認識精度を実現。
  • 禁忌品認識技術
    禁忌品と言われる選別除外対象のビン(化粧ビン、内容物が入ったものなど)に対応。

ビンの形状が多様化してもAIが学習し対応

認識する物体の種類も経時的に変化することから、認識精度を維持するために、現場のデータを継続的に収集・学習してモデルをアップデートする仕組みをサービスとして提供する。

画像データを定期的にクラウドサーバにアップロードし、収集した画像データを用いて再学習した認識モデルデータにアップデートする仕組みで、ビンの色や形が多様化しても、認識精度の維持・向上が可能だ。

また、デジタル化されていなかったビンの色ごとの処理数や処理率など、タイムリーで表示し、進捗状況や過去の実績把握など、リソースの最適化が図る機能や、モデル再学習に必要なアノテーション作業の半自動化により、誰でも簡単で効率的な作業が行えるようにした。

選別の複雑化に対応する画像認識技術

資源の再利用では、資源を正しく分別する必要がある。その一方で、ほとんどがごみの分別は人手によって行われており、中間処理施設は慢性的な人手不足なのが現状。さらに、種類別・素材別に選別する作業は複雑化しているため、自動化による省人化が課題となっている。

同社はイメージスキャナー開発により培った光学技術・画像認識技術を生かし、この課題解決に取り組み、新たに廃棄物分別に特化したAIエンジンを開発し、この課題に取り組む。

今後同社は、全国の中間処理施設で課題となっているリチウムイオン電池の発火を事前に検知できる仕組みや産業廃棄物(金属、建廃、衣服など)まで適応領域を拡げていく。廃棄物分別特化AIエンジンを用いて、あらゆる資源ごみの分別を自動化し、持続可能な社会の実現に貢献する考えだ。

同製品は「2024NEW環境展」(会期:2024年5月22日〜24日 会場:東京ビッグサイト)に出展する予定。

続きは無料の会員登録(必須情報入力)後にお読みいただけます。

  • 環境対策・環境推進に役立つニュース記事が読める
  • 平日毎朝、自分の興味に合った最新ニュースをメールで受け取れる
  • 有料記事などに使えるポイントを貯められる
  • クリッピング機能で要チェック記事をストックできる

関連記事