三菱重工、環境負荷低減に貢献する最新の事業成果を取りまとめ

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JAC形ガスタービン(出所:三菱重工業)
JAC形ガスタービン(出所:三菱重工業)

三菱重工業(東京都千代田区)は2月21日、グループの独創的な新製品・サービス・新技術・新事業・環境に配慮した活動などを表彰する制度「Best Innovation」において、2023年の優れた取り組み18件を公表した。このうち、環境負荷低減に貢献する事業として9つの取り組みが選ばれた。

水素・CCUS関連の最新技術を紹介

脱炭素社会に貢献する大型ガスタービン「M701JAC」

燃焼器を強制空気冷却するとともに、タービン負荷に応じてタービン翼環に冷却空気を供給することで回転するタービン動翼先端の間隙のコントロールを可能とするシステムを開発、製品化した。

稼働実績の多いJ形ガスタービン(入口温度1600℃級)をベースに、タービン入口温度を1650℃まで向上させ、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備として世界最高効率を実現するとともに、負荷変化率の向上、起動時間の短縮など、各負荷帯での高効率化および高運用性を達成する。なお、GTCC火力発電の電力安定供給ニーズを見据え、大型50Hz機での運用性を改善した。

三菱造船の液化CO2ハンドリングシステム

液化状態でCO2の大量輸送を可能とする「液化CO2ハンドリングシステム」の開発事業。現状の液化CO2輸送船は小規模だが、大型化することで経済的なCO2輸送が可能となり、CCUSバリューチェーン構築に貢献できる。

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液化CO2ハンドリングシステムを搭載した輸送船(出所:三菱重工業)

CO2大幅削減を先導する三原製作所の工場脱炭素化プロジェクト

広島県三原市の三原製作所では、「実践的なカーボンニュートラルを実証する場」として、排出CO2の実質ゼロを目指す工場脱炭素化プロジェクトを2022年に始動。これまでに、同製作所に総面積約14万m2に及ぶ太陽光発電設備の導入や工場生産設備の運転要領見直し、計画停電時の非常用発電機の利用回数低減などを実施した。これらの取り組みにより、約1万トンのCO2を削減(CO2総排出量の約98%相当)した。

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三菱重工「和田沖太陽光発電所」(出所:三菱重工業)

水素ステーション向け極低温流体昇圧・移送技術

高圧領域で160kg/hの大流量を安定供給できる液化水素ステーション向け、超高圧90MPa級の液体水素昇圧ポンプを開発した。液体水素を直接昇圧するため、現行の水素ステーション(コンプレッサー方式)に比べて水素供給能力は3倍、エネルギー消費は約1/4に低減できる性能を持つ。

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水素ステーション向け90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプ(出所:三菱重工業)

高砂水素パークが本格稼働・取り組みをPR

水素製造から発電利用まで一貫した実証を世界で初めて可能とした「高砂水素パーク」が兵庫県高砂市の高砂製作所内で本格稼働した。

取り組みの訴求に向けては、各種のPR施設を新たに設置。多数の来場者による見学の際には、ニーズを踏まえたプレゼンテーション・ルート設定や、説明に自動音声を導入して効果的・効率的に所内を案内するなどの対応を実施した。

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高砂水素パーク内の水素製造・貯蔵設備およびGTCC実証発電設備(出所:三菱重工業)

そのほか、以下の取り組みが選出された。

  • ごみ焼却施設の脱炭素・環境負荷低減に貢献する高性能ハイブリッドバグフィルタ(R)
  • 発電用大型ガスタービンの急速な負荷変化運転を実現するモデル予測制御技術
  • 大型鋳鋼品の鋳込み重量低減などにより脱炭素を推進する鋳造解析技術
  • カーボンニュートラル社会実現に貢献する「高速炉・高温ガス炉」開発の中核企業に選定

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