デロイト トーマツとイノカ、海洋資源保全・活用で連携

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デロイト トーマツ コンサルティング(東京都千代田区)とイノカ(東京都港区)は7月25日、「ブルーエコノミー」推進に向けたアライアンスを締結したと発表した。同日から、海洋資源の保全と活用を両立させるブルーエコノミーへの戦略的対応のためのコンサルティングと、サンゴをはじめとする海洋生態系の保全に向けた共同研究に関する協業を開始した。

世界初の人工サンゴ産卵を成功させたイノカのテクノロジーと、デロイト トーマツの環境政策・戦略策定の知見を融合し、ブルーエコノミーに関するコンサルティングや科学的な評価手法の実証を支援していくとしている。

ブルーエコノミー関連の市場規模2030年までに約500兆円に

ブルーエコノミーとは、SDGs(持続可能な開発目標)にも掲げられる、海洋資源保全と持続可能な形での活用を前提に、海洋の可能性を解放し、経済価値・社会価値をハイレベルに両立させる経済活動のこと。関連産業には、漁業・養殖業、洋上風力発電などエネルギー産業、観光業などをはじめ、海洋淡水化、バイオテクノロジーなど海洋に関わる様々なビジネスが含まれる。

デロイト トーマツの戦略コンサルティング部門であるモニター デロイトは、2030年までにブルーエコノミー関連のグローバルの市場規模は約500兆円に達すると試算している。

デロイト トーマツは、経済価値・社会価値の両立を図るCSV(共有価値の創造)に関して、多様な産業に対して戦略策定から実行まで含めたコンサルティングサービスを提供する。デロイト トーマツ グループ横断で「Climate Sustainability イニシアチブ」を推進し、その一環として、環境政策や生物多様性に係る包括的なサービスも提供している。

イノカは、「環境移送技術」を駆使してサンゴ礁の環境を水槽内に再現する技術を持っており、海の「インフラ」であるサンゴに関する深い知見を基にルール戦略を推進するほか、科学的な評価手法の実証に知見を有している。また、両社はともに、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に参画しており、自然資本や生物多様性に関する知見を豊富に有している。

今回締結したアライアンスでは、こうした両社の強みを生かし、今後有望視されるブルーエコノミーの推進のため、下記の分野で協業を行う。

  1. ブルーエコノミーの推進に係る産官学のエコシステムの拡大に向けた施策・提言の実施、およびブルーエコノミー分野におけるイノベーションの促進、共同研究の実施および政策・ルール提言
  2. ブルーエコノミーに係る、企業・政府・自治体向けのコンサルティングサービスの提供
  3. ブルーエコノミーを推進する上でのサンゴに関する知見を梃子にした科学的な評価手法に基づく環境影響度評価支援・TNFD開示支援

両社は今回のアライアンスを通じ、世界でも有数の海洋資源を誇る日本のブルーエコノミー分野における発展を推進する構えだ。

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