環境 新製品:緑の緑茶/ゼロワン

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色までリサイクル。
防腐剤を使わない茶殻の工業用染料原料

昨今、コンビニなどの飲料コーナーにはたくさんのお茶が並ぶ。その原料となる茶葉は、お茶を抽出すると茶殻(残渣)となり、そのほとんどが産業廃棄物として処分されている。

日本一のお茶処静岡県で食品・食品添加物の製造及び天然緑色物研究開発事業を営むゼロワンは、処分されている茶殻などの農産品を原料にした工業用染料「緑の緑茶」を開発した。リサイクルの鍵となったのが、同社が開発した葉緑素を再生して緑色を普遍化する「緑色残渣リサイクルシステム」だ。

同システムでは、茶葉に限らず、ほとんどの緑色の植物から緑色の植物が持つ有用物質を100%抽出して、液体・ペースト・粉末に加工する。天然素材の染料なので、合成物には出せない自然な風合いを出すことができるという。

緑の緑茶
緑色残渣リサイクルシステム

従来、植物由来の天然原料は変色しやすいため、保存や輸送に手間やコストがかかる。だが、ゼロワンの「緑の緑茶」は、防腐剤などを一切使わずに常温で緑色を維持できる、世界初の技術だ。

保水状態での劣化はほとんどなく、紫外線でも劣化しにくい。また、PHにも影響されにくい。建築素材や樹脂素材、染料の原料はもちろん、衛生用品(紙)や化粧品素材にも安心して使用できる。アイディア次第で、用途はさらに広がっていきそうだ。しかもこの染料原料の製造はゼロエミッションで残渣が出ない。「コストパフォーマンスにも優れているので、工業分野での展開が期待できる」(ゼロワン 特別技術顧問 秋田晴夫氏)。

同社は現在、120℃以上の高温加熱でも緑色を維持できる世界初の技術を応用すべく、県や大学との共同開発研究や、農産組合と連携した商品開発を行っている。さらに、これまで成し遂げられてない茶殻を使った緑色の塗料も開発中で、紫外線に当たっても変色しにくい緑色の繊維染料や建材染料が、間もなく完成する見込みだという。また、大学との連携の中で「緑の緑茶」をポリ乳酸の中に入れた環境に優しい、土に帰る生分解性プラスチックの開発も手がけている。

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