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ROAD TO COP18 ― どうなる25%削減目標

直接的なCO2削減以外にも注目

山岸 尚之

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国際的な気候変動に対する取組みがやや停滞する中、直接的なCO2以外の削減手段として、「短期寿命気候強制物質」と呼ばれるメタンやスス等の削減にも注目が集まってきた。

5月のドイツ・ボン会合で合意された議題には
(各国の削減水準の)「野心の水準を引き上げる」ことの検討が含まれている。

8月30日~9月5日には今年2回目の国連会合がタイ・バンコクで予定されている。カタール・ドーハでのCOP18へ向けての交渉が行われる予定だが、その中で1つ重要な課題が、本連載でも何度か指摘している「野心の水準の引き上げ」である。気温上昇を「2℃」未満に抑えるという大目標からすれば、各国が現在までに誓約している削減の水準は相当に低い。その差は、2020年時点で60~110億トン(CO2換算)と試算されている。

この差を埋めるための最短手段は各国が削減目標・行動計画の水準を引き上げることだが、政治的に各国とも難しい状況が続いている。そのような中、昨年から少しずつ注目を集めている分野が、CO2の直接的削減以外の手段である。

UNEPの短期寿命気候強制物質に関する報告書。(※クリックでPDFダウンロード、11.6MB)

CO2以外の温暖化抑制手段

中でも、「短期寿命気候強制物質(short-lived climate forcers)」の削減は、UNEP(国連環境計画)が報告書を発表し、アメリカを含んだイニシアティブが発足するなど、注目を集めている。

名前からは内容が分かり難いが、CO2以外で温暖化に寄与する物質の削減をすることで、温暖化を弱めようという取組みを指す。具体的にはたとえば、途上国での薪使用やディーゼル車からのスス排出削減、廃棄物からのメタンの削減、炭坑や石油・ガス生産からのメタン削減などである。この他、代替フロンであるHFCの排出量削減も含めることが多い。

UNEPが昨年発表した報告書によると、ブラック・カーボン(スス等)、メタン、地表付近のオゾンを削減する16の手段によって、2010年~2050年の間の温暖化を0.4℃軽減できるとの試算されている。

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この記事の著者

山岸 尚之氏
山岸 尚之(やまぎし・なおゆき)
【WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループリーダー】
2003年5月、マサチューセッツ州、ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサー、11年より現職。
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