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電力自由化後の競争環境の変化(前編)

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東日本大震災を契機とした電力システム改革は、4月に小売全面自由化という大きなマイルストンを迎える。既に小売電気事業者として200社近くが登録され、新規参入企業や既存電力会社による料金プランの発表やプロモーション活動が活発に行われている。

自由化は競争を引き起こすか

2016年4月より家庭用需要家を含めた低圧市場への小売参入が自由化され、小売の“全面”自由化がなされるが、既に業務用・産業用の特別高圧・高圧市場への参入は“部分”的に自由化がされている。しかしこの部分自由化では十分な競争がなされているとは言い難い。2000年3月に特別高圧市場への小売参入が自由化されてから10年超が経過した東日本大震災時点の新規参入者の自由化市場におけるシェアは3.6%に留まっていた。また各地の既存電力会社が自社エリア以外の需要家に電力販売を行う越境給電は2005年に九州電力が行った1件のみであった。

自由化が先行した諸外国でも、必ずしも自由化=競争となったわけではない。98年に自由化を行ったドイツでは、自由化直後は約100社の新規参入があったが、10年後にはその殆どが撤退し数社が残る程度であった。

その理由の一つは既存大手電力会社による競争阻害的な行動にある。例えば、新規参入者は電力を販売する際に、大手電力会社が所有する送電網の使用料(託送料)を支払うのだが、ドイツではこの託送料金を恣意的に高い料金設定を行うことが可能な状況であった。大手電力会社は小売にかかる費用を、高い託送料で賄うことが可能となり、小売事業のみで競争する新規参入者は、大手電力に対して競争力を具備することが出来ず、撤退を余儀なくされた。

(※全文:2,717文字 画像:あり 参考リンク:なし)

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この記事の著者

筒井慎介
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル
京都大学大学院 経済学研究科 特任准教授 筒井 慎介
東京大学工学部機械工学科卒。ジェーシービーを経て現職。東日本大震災を機にエネルギーの課題解決は企業益と公益の双方につながると考え「エネルギー」を自身のメインテーマに設定。近年はエネルギー、電力、都市ガス、通信業界を中心に、事業戦略、M&A戦略、新規事業立案、シナリオプランニング等を支援。電力自由化を契機とした業界構造変化等をテーマとした講演・セミナー多数。2013-14年資源エネルギー庁電力改革推進室(課長補佐)出向、電力改革の政策立案に携わる。14年より京都大学大学院特任准教授。
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