第17回環境ビジネスフォーラム「企業・自治体での再エネ活用」

太陽光発電の自家消費で環境経営を実現「初期費用ゼロ」や遠隔地からの送電も

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【環境ビジネスフォーラム『企業・自治体での再エネ活用』開催レポート】

SDGs、パリ協定が採択され、ESG 投資の動きが加速するなか、企業における環境経営が不可欠な時代となっている。CO2排出量の削減、環境経営の視点で注目されているのが自家消費型太陽光発電。産業用の太陽光発電システムの販売・施工を手がけ、多くの実績を持つエコスタイルが企業における太陽光発電による電力の自家消費を解説した。

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高まる「環境経営」の重要性 その背景は

エコスタイルは、全国の主要エリアに拠点を置き、低圧産業用を中心とした太陽光発電システムの開発から販売・施工、O&M(運営・保守)をワンストップで提供する。これまでに11,206件の開発施工実績を持ち、開発施工容量は508.5MWにのぼる(2020年4月末時点)。

これまでは、FIT制度による地面設置型太陽光発電システムの施工・販売が多かったが、近年、企業からの自家消費を目的とする屋根設置の太陽光発電の問い合わせが増えてきているという。その背景には、環境経営の重要性の高まりがある。

サプライチェーン全体に求められるCO2削減

環境問題と政策・制度の歴史を追っていくと、1979年、オイルショックが契機となり、省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)が制定された。次いで、1998年には、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での京都議定書の採択を受け、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)が制定された。その後、東日本大震災を経て2012年に再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)が開始され、太陽光発電の設置が一気に普及。そして、2015年、国連のSDGs、COP21でのパリ協定採択で、地球温暖化に向けた対策であるCO2排出量の削減強化が世界的な動きとなり、いまや、大企業から中小企業を含めたサプライチェーン全体での対応が求められている。

環境や気候変動に対する国際議論が活発化するなか、投資家の動きも変化している。非財務情報である環境・社会・ガバナンスを重視したESG投資が増加する傾向にあり、2019年には、世界全体で31兆ドルを越える資金が運用されている。

再エネ構成比24%へ 企業・団体の動きが加速

日本では、2030年の実現を目指すエネルギーミックスにおいて、再エネ電源は構成比率22~24%の目標を掲げている。2018年度の再エネ比率が17.4%ということを考えれば、まだまだ不足しており、具体的な取り組みを推進していく必要がある。こうしたなかRE100やSBTといった世界的な取り組みや、日本独自の『再エネ100宣言―RE Action』への取り組みを推進する企業、団体が増えている。

同社経営企画部部長の岸田 光司氏は「太陽光発電といえばこれまでは『売電』で、発電した電気をすべて電力会社に買ってもらうというスキームがほとんどでした。しかし、FIT単価も下がってきている今、発電した電気は自社で使う方がメリットがあります。加えて、CO2を出さない電気として環境経営のソリューションとしての側面からも、自家消費型の太陽光発電システムの導入に意欲的な企業が増えています」と話す。

「自家消費」は電気料金上昇リスクにも効果

自家消費型太陽光発電は、自社のシステムで発電した電気を自社で利用するしくみ。

「契約条件にもよりますが、現在、電気代は高圧の契約で賦課金を入れて、1kWhあたり約18円(税込)。2019年度の売電価格が14円(税込15.4円)だったことを考えると、賦課金込みで18円の削減ができるなら、売るより使う方がコストメリットが出ます。また、再エネ賦課金は今後上昇していくといわれており、電力を自家消費することで、電気料金の上昇リスクにも備えることができます」。

環境経営のソリューションとしての視点で見れば、省エネ法、温対法ともに、太陽光発電分はカウントしないため、自家消費分の電力がそのままエネルギーの削減となる。また、太陽光発電によるCO2排出量削減効果を数値化することで、削減量を報告書に明示することができる。

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初期投資ゼロの「PPAモデル」も

自社所有で太陽光発電システムを導入するほか、PPA(第三者所有)モデルという手法もある。太陽光発電システムそのものはPPA事業者である第三者が設置し、需要家は発電した再エネ電気を使う契約をPPA事業者と結ぶ。初期投資はゼロでメンテナンスもPPA事業者負担となり、アセットもPPA事業者が持つ。需要家は再エネを使うことで環境経営を推進でき、PPA契約では電気を使った分だけ使用料を支払うことになるが、その単価は契約期間において固定であり、電気代の上昇リスクに備えられるとともに、長期的に見ればコスト削減効果も出てくる。

「初期投資0円で再エネ電気を使えるスキームになりますので、検討する価値はあるかと思います」と岸田氏は指摘する。

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