【環境ビジネスフォーラム『企業・自治体での再エネ活用』開催レポート】
非住宅向けの自家消費型太陽光発電市場が拡大を見込まれるなか、ファーウェイ・ジャパン デジタルパワー事業部の佐藤 英也氏が「既設の負荷設備への太陽光発電導入のポイント」をテーマに講演。自家消費型太陽光発電の三つの課題と、それに対する同社のソリューションを提案した。
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自家消費型太陽光発電3つの課題とは
国内の自家消費型太陽光発電市場は電気料金の上昇、太陽電池の価格下落、FIT買取価格の減額を受けて、2030年には2019年比5倍に拡大すると予測されている。なかでも非住宅の向けの需要は大幅に伸びるとみられている。市場の状況をうけ、世界有数のICTソリューション・プロバイダーであり、太陽光発電のパワコン出荷量でもグローバル・トップのファーウェイは、既設の負荷設備への太陽光発電導入のポイントを紹介した。
ファーウェイではすでに業界に先駆け国内の自家消費型市場へ、低圧向け出力4.95kW、4.125kWパワコンを投入している。そのうえで、ファーウェイ・ジャパン デジタルパワー事業部の佐藤 英也氏は導入にあたり、三つの課題があると注意を喚起する。
商業施設で起きた火災の原因とは
一つは安全性に対する課題である。例えば2012~2018年に米国のウォルマートの店舗屋上に設置した太陽光発電設備の少なくとも7件から、火災が発生したとの報道がある。調査の結果、電気接続箇所の緩みや、接地不良等に原因があったとされた。電気接続箇所の緩みなどからは直流アークという火花の散る現象が発生し、火災につながる恐れがある。太陽光発電システムにはこうした直流火災事故の危険性もある。
「昼休憩」で自家消費の発電量が「ゼロ」になるリスクも
二つ目の課題は発電ロスについてだ。自家消費型太陽光発電は発電量が工場、商業施設等の負荷設備の消費電力量を上回ると、系統へ電気が流れる逆潮流を防止するために逆電力継電器(RPR)が作動。即パワコンが停止する。佐藤氏は「例えば、昼の休憩時に工場の負荷設備の稼働を止めるとRPRが作動してパワコンが停止し、発電量がゼロになる。昼の12時といえば日差しも強く発電量が最も多い時間帯であり、また一度停止したパワコンは手動で再稼働するので時間がかかり、大きな発電ロスにつながります」と指摘する。
省・中規模太陽光は発電コストが割高に
三つ目の課題はO&M(運営・保守)にかかるコストだ。「倉庫・工場の屋根などに設置する小・中規模太陽光発電設備を全国の複数拠点に分散化すると、定期点検など保守管理に人員も手間もかかります。つまり1カ所の保守管理で済む大型発電所に比べると、その分、発電コストが高くなります」と注意を促す。
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