第17回環境ビジネスフォーラム「企業・自治体での再エネ活用」

火災、発電ロス、保守管理ー自家消費太陽光発電がもつ3つの課題(2ページ目)

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AIの分析でアーク発生を防止、遠隔地からIV診断も可能

同社がソリューションとして提案するのが、新製品の出力20kWの三相パワコン(SUN2000-20KTL-M3)だ。

三相パワコン
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遠隔から2.5秒でパワコンを停止 火災事故を未然に防ぐ

まず一つ目の課題である空気中を電流が流れる放電現象である直流アークの発生をいかに防止するか。アークが起きる前に出るノイズを検知し、直流アークの発生を事前に検出することだ。しかし、ノイズは通常の電流信号の0.1%程度と非常に弱く、検知するのが難しい。そこでファーウェイではAIのアルゴリズムによって遠隔監視で検知したノイズを解析。AFCI(アーク故障回路遮断器)により、危険を察知すると2.5秒でパワコンを停止し、火災事故を未然に防ぐことができる。AIモデルの自己学習機能により、100万種以上のアーク特性が格納されているという。

リアルタイムでパワコンを制御 発電ロスを最小に

RPRによる発電ロスに対しても、同社の通信インフラ設備事業で培った技術により、リアルタイムでパワコンを高速追随制御。例えば昼休みで消費電力が下がるようなケースにおいても、パワコンを制御し停止せずに発電ロスを最小限に抑えることが可能だ。

発電所を一括監視、「健康診断」もオンラインで

三つ目の課題であるメンテナンスコストに対しても「我々のクラウド基盤で提供する遠隔監視のソフトウェアにより全国に分散された発電所を一括で監視し、稼働状況を一括管理できます」と佐藤氏。発電所の健康診断にあたるIV測定・診断も、現地に人員が赴かずに遠隔地からオンラインで行うこともできる。加えて新製品ではパワコンが夜間にPID(電圧誘起劣化)を自動回復させるというユニークな機能も搭載しており、大幅にコストを削減することができる。

0.9力率でもフル出力可能、故障率もグローバルで0.5%

スペックから新製品パワコンの特徴をみると、まず最大入力(DC)電圧が750V仕様となっているため低圧区分に対応していること。さらに出力電圧が200Vに対応し、202V/220V/230Vとステップを刻める仕様になっているので、工場・商業施設等ですでに使われている負荷設備の電圧に対応し、スムーズに導入できる。また「容量20kWに対し皮相電力も22kVAなので、力率を0.9に設定してもフル出力が可能」と接続先の系統環境に広く対応している。防塵防水のIPレベルもIP66と完全密閉一体型の設計を採用し、グローバルでの年間故障率が0.5%以下という点も心強い。

この三相パワコンはすでに自家消費で先行するヨーロッパ市場に投入され、好評を博しているという。

初期投資だけでなく生涯の「発電コスト」をいかに低減化するか

卒FITを迎え、自家消費型太陽光発電を導入する際、FIT制度開始時期にみられたように、初期投資を抑えるために価格の安さから太陽光発電設備を選ぶ傾向が顕著にみられるという。しかし、初期投資を抑えることは大事であるが、最も重要なのは建設・運用・廃止まですべてのコストを生涯発電量で割った発電原価であるLCOE(発電コスト)をいかに低減化するかだ。

佐藤氏は講演の最後を「太陽光発電事業は20年間、故障なく長期安定的に発電することが大切です。私たちは高い変換効率、発電ロスの抑制で高い発電量を維持し、O&M、IV診断のオンライン化などでコスト削減を図る一体型ソリューションを提供してまいります」と同社のミッションで結んだ。

資料イメージ
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