世界中の両生類を襲う「カエルツボカビ菌」にみる感染症の生態学/五箇公一氏

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今もなお続く新型コロナの猛威に、多くの方々が不安と焦燥を感じていることと思います。新型コロナのような感染症パンデミックの問題は人間社会のみならず、野生生物の世界でも深刻になってきています。そのひとつにカエルツボカビという両生類特異的な新興感染症があります。つまり「カエルの世界の病気」です。今回は、このカエルツボカビの話題を提供してみたいと思います。

カエルツボカビ・パンデミック

近年、世界各地でカエルやイモリ等の両生類が急速に減少していることが生態学的に問題とされています。そして、その原因の一つとされるのがツボカビ症という両生類特有の新興感染症の流行です。ツボカビ症とはカエルツボカビ菌という真菌の一種が原因で起こる両生類の病気です。カエルツボカビ菌は両生類の皮膚にだけ寄生する珍しいカビで、世界で初めて発見されたのは1998年のことでした。以降、世界各地から相次いで両生類集団の本菌による感染および集団死亡事例が報告されたのです。

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