ハダニの薬剤抵抗性が教えてくれた多様性の意義(前編)
今回は、五箇先生の運命を左右したハダニの研究の話。ハダニは、成長速度が速く、極めて繁殖力も高い生物で、ある意味、新型コロナウイルスにも通じる特性をもっている。新しい防除剤を開発してもすぐに耐性がつき、無効化されてしまうという。先生がハダニに魅了されたきっかけから、研究機関でハダニと格闘した日々、そしてハダニから学んだ生物多様性の話など、盛沢山で語っていただいた。
ダニとの出会い
筆者は、現在、国立環境研究所で生物多様性の保全を業務としてさまざまな生物を相手に研究をしているが、大学時代からの専門はダニ学である。ダニ学なんて学問あるのか? と思われる方も多いと思うが、ダニも立派な動物であり、その種数は、現在分かっているだけでも5万種類、まだ未発見のものも含めれば10万種はくだらないかもしれないほど種の多様性は高い。
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