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ハダニの薬剤抵抗性が教えてくれた多様性の意義(前編)

今回は、五箇先生の運命を左右したハダニの研究の話。ハダニは、成長速度が速く、極めて繁殖力も高い生物で、ある意味、新型コロナウイルスにも通じる特性をもっている。新しい防除剤を開発してもすぐに耐性がつき、無効化されてしまうという。先生がハダニに魅了されたきっかけから、研究機関でハダニと格闘した日々、そしてハダニから学んだ生物多様性の話など、盛沢山で語っていただいた。

ダニとの出会い

筆者は、現在、国立環境研究所で生物多様性の保全を業務としてさまざまな生物を相手に研究をしているが、大学時代からの専門はダニ学である。ダニ学なんて学問あるのか? と思われる方も多いと思うが、ダニも立派な動物であり、その種数は、現在分かっているだけでも5万種類、まだ未発見のものも含めれば10万種はくだらないかもしれないほど種の多様性は高い。

その生活様式もさまざまで、水のなか、土のなか、植物の上、昆虫の体表や体内、脊椎動物の体表などさまざまな空間に生息している。さらにダニは地球に登場してから4億年。まさに進化の歴史において人間なんかより遥かに古い先達なのである。その多様性の高さと進化史の長さからも、ダニは生態系において重要な一員であり、ダニの研究は、その意味で自然環境と人間社会を保全するうえでも重要な鍵を握っているといっていい。

一方で、ダニを研究する人間は、実際のところ、

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