環境保全は、常に経済や産業にとって費用の増加をもたらし、その成長の足を引っ張る存在とみなされてきた。だが、なぜ21世紀に入ると経済が成長しても温室効果ガスの排出は減少するという現象が観察されるようになったのか? いかにして脱炭素と経済成長は両立するようになったのか? 京都大学 大学院 経済学研究科教授で、財政学・環境経済が専門の諸富 徹氏に寄稿してもらった。
脱炭素化と経済成長は両立するか ~マクロ経済的側面~

環境と経済は、産業革命以来ずっと、お互い相容れない対立関係として捉えられてきた。環境保全は常に経済や産業にとって費用の増加をもたらし、その成長の足を引っ張る存在とみなされてきた。