経済安全保障として加速する「サーキュラーエコノミー」 その背景と国内動向
深刻化する環境問題への対策として、資源循環が注目されている。資源をめぐっては、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)によるパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻などの激変する国際情勢に、世界的な人口増加や新興国の経済成長による資源消費量の増加も加わり、資源を特定の国に依存し続けることのリスクが顕在化した。
そこで、カーボンニュートラル施策だけではなく、競争力を確保し持続的成長を目指すための経済安全保障の一環として、「資源循環型の経済(以下、サーキュラーエコノミー)」への移行を目指す動きが世界で加速している。
シリーズ「資源循環の高度化とバイオ原料・素材への転換により実現する経済安全保障」では3回に分けて、資源循環政策の重要性、国内外の動向について概説し、今後、日本企業が求められる対応について言及する。前編では、グローバルで「経済安全保障」としての資源循環が進みつつある背景や、日本での動きを紹介する。(第1回/全3回)
「経済安全保障」としての資源循環とは
資源循環とは、環境省の「循環型社会形成推進基本法」では、廃棄物などのうち有用なものを「循環資源」と位置づけ、その循環的な利用を促進すること、と定義されている。