
国全体で発電する電源の98%を水力発電を中心とした再生可能エネルギーでまかない、EVの普及率が世界1位を誇る国、それが北欧のノルウェーだ。
美しい自然にかこまれ、世界でいち早く1991年にCO2税を導入するなど環境への意識も高いノルウェーは、GX・脱炭素領域においても日本と2国間協力を強めようとしている。
環境ビジネス編集部は4月3日、ノルウェー大使館の通商技術参事官を務めるスベイン・グランダム氏にノルウェーのGX・脱炭素事情、グリーン領域で日本企業と協業していきたい点などについて話を聞いた。
前編では、ノルウェーのGX・脱炭素事情を聞く。

―――ノルウェーとして取り組んでいる気候変動対策の現状や目標、今後どのように目標達成に向けて進めていく考えかお聞かせください。
ノルウェーは、2030年までに1990年比でCO2排出量を半減すること、2050年までにゼロエミッションの国になることを目標とし、法律でも定められております。またこの目標自体を引き上げる考えもあります。
目標達成に向けては、いろいろな手段を検討しているところです。(いま実施しているものだと)たとえば、CO2に関する税金を設定したり、エネルギー効率を上げていくためにバイオ燃料やEVの利用を促進したりしています。

EUと連携して水素やアンモニア、電気などのバリューチェーンをつくることにも重きを置いており、こうしたビジネスモデルを多種多様な産業基盤を有する日本とともに作っていきたいと考えています。
その一例として、CCUS(回収したCO2を貯留・分離し、利用する技術)のインフラプロジェクトをノルウェー北部で進めています。
日本企業では、川崎汽船がCO2を運ぶためのオペレーターとして選定されています。ノルウェー南部のセメント工場から西海岸のCO2貯蔵施設までの運航を担っております。

ほかにも、ネットゼロ対策としてバイオを起源としたバリューチェーン構築にも取り組んでいます。
また、ヨーロッパのイギリスやデンマーク、スウェーデン、ドイツとも電力網がつながっています(隣接するスウェーデン以外の国とは数100㎞以上の海底ケーブルを通じた国際連系線となります)。
各国と電力網がつながっているメリットとしては、イギリスやデンマークで強く風が吹いたときは、風力発電で多く得た電気を皆で分け合うことができます。同じようにノルウェーの水力発電でつくった電気を他国で使用する事もできるので、このシステムは非常に有効だと考えています。
―――どうして9割以上も水力発電でまかなえるのでしょうか。