私たちの暮らしやビジネスは、地球という舞台の上で展開されている。その地球がどれほど多様で美しいかを知ることは、地球の持続可能性を考える第一歩ではないか。本連載では、本誌で撮影を担当する写真家のうちの一人に、写真家として世界を旅する中で出会った風景や文化を紹介してもらい、読者の皆さまには「環境」や「未来」に思いをはせるきっかけとしていただきたい。第3回はイタリアの基礎自治体(コムーネ)、ラヴェンナを紹介する。
ビザンティン帝国を支えた古代の主要都市
イタリア共和国北東部、エミリア=ロマーニャ州に位置するラヴェンナは、西ローマ帝国の首都であり、ビザンティン帝国の主要都市として栄えた歴史を持つ。5、〜6世紀にかけて建築された初期キリストの聖堂・礼拝堂や数多くのモザイク画が今もなお残る芸術の宝庫だが、大衆的な観光の対象からは外れているようである。
1996年、「ラヴェンナの初期キリスト教建築物群」の名で8の建造物が世界文化遺産に登録されている。

世界文化遺産のひとつ、西ローマ皇帝コンスタンティヌス夫人の霊廟「ガッラ・プラチディア霊廟」は425〜430年に建築されたという。
薄明かりの中でも見ていると輝きを帯びてくるように感じ、「星降る天井」と勝手に名付けた。離れては名残惜しく、何度も戻って見てしまった。
キリスト教の99匹の羊を表しているといわれる99個の星。四隅には、初期キリスト教美術によく見られるという、天使(マタイ)、ライオン(マルコ)、牡牛(ルカ)、鷲(ヨハネ)がいる。

街では飾り付けられた自転車を何度か見かけたが、それぞれ使われているらしかった。

街は色々な装飾が施されており、傘が吊るされた通りも。通りごとに飾り付けが変わり、ただの散歩も楽しい。

サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂も世界文化遺産のひとつ。 駅から時刻表の無いバスで向かうと、何もない広い野原に建っていた。
最古の「最後の晩餐」があるほか、「キリストと12使徒を表す羊」のモザイクなどがある。 16世紀に創建当時から床面が1.2m以上高く持ち上げられたため、床面に敷詰められているというモザイクは見ることができない。

霊廟には歴代司教たちの棺が置かれている。 それぞれに描かれている動物がかわいらしい。 その向こうに見えている柱は巨大で、身廊と側廊は 12本のコリント式列柱により仕切られている。

街を歩いているととある土産屋の一角に目が留まる。 イタリアにいると被ってみようという気になる。

「モザイクの街」といわれるだけあって、 街のいたるところにモザイクアートがある。
東京都中央区出身。会計の仕事に就きながら、週末はカーレーサーとして活動。その後カメラマンに なり、ウェディング撮影の経験からウェディングの 会社も設立した。現在はフリーカメラマンとして船 旅や登山をしながら空や風景、猫を撮影しつつ、新たな分野を開拓中