環境省、地熱発電の採掘判断等に関するガイドラインを策定

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環境省は、温泉資源の保護を図りながら再生可能エネルギーの導入を促進するために、「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」を策定し、公表した。同省では、本ガイドラインともに、国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについて、新たな通知を3月27日付けで、各都道府県に対して地方自治法に基づく技術的助言として通知した。

本ガイドラインは、地熱発電の開発の各段階における採掘等について、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示すのが目的。具体的には、調査段階における調査井の採掘や地熱発電の開始における生産井の採掘、生産井の追加採掘や還元井の採掘等、各段階に実施される採掘行為等による温泉資源への影響を判断するために必要な資料とそれに基づく判断の方法等を示している。対象となる地熱発電所は、現在稼働している出力30,000kW~650,000kW級のものが例として挙げられている。

また、本ガイドラインでは、実際の判断に当たっての参考とするために、現在稼働している地熱発電所一帯を対象として行ったシミュレーション等を試行し、それらの結果等についても記述している。

温泉法では、温泉を湧出するための土地の採掘のほか、地熱開発のための試験井の採掘や発電に利用するための生産井の採掘など、温泉の湧出が見込まれる場合は、都道府県知事への採掘許可申請が必要となる。これまで、都道府県知事が採掘の許可を与えるための統一基準がないことが、開発が遅れる一因となっていた。

国立・国定公園内における地熱開発の取扱いについては、以下のような基本的な考え方を示している。事業用としての大規模地熱発電所においては、国立・国定公園の風致景観や生物多様性に対する影響を軽減するための技術や進展が図られており、その実績も蓄積されてきている。特に資源調査では、機器の小型化、新技術の適用、原状復旧などの配慮によって風致景観等への影響を小さくすることが可能となった。しかし、発電所の建設など大規模な造成による風致景観等への影響、事故の発生等による利用者等へ影響などの課題が残っており、今後とも、地熱発電事業の立地は、特別地域など国立・国定公園の自然環境保全上重要な地域及び公園利用者に影響の大きな地域は原則として避けるべきであると判断している。普通地域においては、その都度開発の判断を行うことが適切であるとしている。

参考1:環境省 - 温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係) の策定について
参考2:環境省、温泉地域における地熱発電導入に向けたガイドライン案を公表

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