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産総研、曲げられる透明導電フィルムを開発

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産総研、曲げられる透明導電フィルムを開発

産業技術総合研究所は、基材フィルム上にカーボンナノチューブ(CNT)インクを塗布または印刷して作製できる、高い透過率と導電性を持つ透明導電フィルムを開発した。

このCNT透明導電フィルムは、真空や高温プロセスを必要とせず、省資源、省エネ、かつ室温で成膜できる溶液プロセスで作製できる。また、CNT特有の屈曲性や密着性により、耐屈曲性、耐衝撃性に優れ、折りたたむことができる。

今後、CNT透明導電フィルムの導電率、透明性をさらに向上させ、スクリーン印刷法による大面積パターニングなどによって、タッチパネルだけではなく、太陽電池、有機ELディスプレイなどの幅広い用途開発を目指す。また、共同研究企業を募集し、製品化に向けた課題に対する検討を行っていく。

現在、モバイル情報端末やタッチパネル式PCには、透明電極フィルムとして主に酸化インジウムスズ(ITO)膜が使用されている。しかしITO膜は、入力動作の繰り返しによって微小な割れが生じやすく、曲げにも弱いこと、また、ITO膜の製造に必要な蒸着などの真空プロセスは多大な設備投資を必要とし大面積化が困難であること、さらに、希少金属であるインジウムを用いていることなどの課題を抱える。このため、これらを解決できる代替透明導電材料が求められている。

今回、CNTの量産、高品質化、直径の精密制御などが可能なeDIPS法(直噴熱分解合成法を改良した合成法)により作製した高品質の単層カーボンナノチューブ(SWNT)を用いて、新たに成膜性に優れ、高濃度・高粘度のCNTインクを開発した。このCNTインクを基材(ガラス、PETなど)上に垂らし、ブレードを自動装置により一定速度で動かして透明導電フィルムを成膜した。SWNTは、グラファイト(炭素からなる鉱物)のシート1枚を筒状に丸めた構造の直径0.4nm~数nmのチューブ状物質。

このCNT透明導電フィルムは、基材フィルムの透過率に対して89~98%の透過率のとき、物質表面における電気抵抗率が68~240Ω/□(オーム・パー・スクエア)という、ウェットコーティング法による透明導電フィルムとしてこれまでに報告されたものと比較して世界最高レベルの透明性と導電性を持つ。

さらに、このCNT透明導電フィルムを用いて抵抗式タッチパネルを作製した。まず、CNT透明導電フィルム上にスクリーン印刷法により上下、左右の配線電極を形成し、次に、スペーサーを介して2枚のフィルムを貼りあわせて作製した。このタッチパネルは、公共施設、病院、店舗、イベント会場などで、コンピューターの操作に不慣れなお年寄りや子どもでも、扱うことができるインターフェースとして、幅広く活用できると期待される。

CNT透明導電フィルムを用いた抵抗式タッチパネル

CNT透明導電フィルムを用いた抵抗式タッチパネル
曲がった状態でも動作し、ペンの軌跡がディスプレイに表示される。

なお、この成果は2013年1月25日付のApplied Physics Express 誌(電子版)に掲載される。また、2013年1月30日~2月1日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「nanotech 2013第12回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」と同時開催される「プリンタブルエレクトロニクス2013展」にて展示される。

【参考】
産総研 - フレキシブルなカーボンナノチューブ透明導電フィルム

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