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産総研など、高温超電導の記録更新(約-120℃)

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産総研など、高温超電導の記録更新(約-120℃)

産業技術総合研究所と理化学研究所は、高圧合成技術を用いて作製した水銀系銅酸化物高温超伝導体のひとつであるHg-1223について、15万気圧の超高圧力下で、電気抵抗がゼロとなる超電導現象を、現在最も高い絶対温度153K(セ氏約-120度)で観測したと発表した。本成果により、今後、新しい物質の開発における超伝導転移温度の向上に貢献することが期待される。

1993年に発見されたHg-1223は大気圧中では最も高い135Kの超伝導転移温度をもつ物質である。この物質は圧力の増加とともに転移温度が上昇するという報告がなされていたが、実験が困難であるため超高圧力下では電気抵抗の消失は観測されていなかった。

今回、高度な高圧力下での実験技術を利用することで、本研究成果を得た。また、これまで得られていなかった圧力下での正しい超伝導転移温度の変化の詳細を明らかにした。

電気抵抗の消失(ゼロ抵抗状態)は、超伝導の最も基本的な性質とされている。超伝導は、ゼロ抵抗など特徴的な性質を示すことから、基礎研究だけではなく、エネルギー分野、産業・輸送分野、医療分野、情報・通信分野など、幅広い領域で応用に向けた研究が行われている。この中で、超伝導転移温度の向上は、その適用範囲を広げることにつながるため、超伝導の研究における一つの目標とされている。

今回の研究で用いた、高圧合成装置(左)、キュービックアンビル型圧力下物性測定装置の圧力発生部分(右)

今回の研究で用いた、高圧合成装置(左)  ュービックアンビル型圧力下物性測定装置の圧力発生部分(右)

これまでのHg-1223に対する超高圧力下の電気抵抗率測定では、その測定技術の難しさのため、完全な超伝導状態の実現が阻害され、ゼロ抵抗を得ることができず、超伝導転移温度を正しく評価できていなかった。その主な要因としては、試料自体の質に問題があったことや、測定時に加える圧力の不均一による試料の損傷などが考えられる。

これらの問題点を克服するため、本研究では、高圧合成技術による試料作成と、キュービックアンビル型装置(上下左右前後の6方向から均等に加圧する機構をもった圧力発生装置)を用いた圧力発生技術による均一な高圧力下での電気抵抗測定することで、超高圧力下において正しくHg-1223に対する超伝導転移温度を評価し、圧力との関係の解明を目指した。

結果として、これまで得られなかったゼロ抵抗をともなう超伝導転移を全ての圧力下で測定・観測することができ、Hg-1223における超伝導の正しい温度-圧力相図(Tc-P相図)が初めて得られた。

これにより、圧力と超伝導転移温度との関係がどのようになるべきか、理論的なモデルとの対比なども可能となり、今後、高圧力下ではなく大気圧中においてさらに高い超伝導転移温度をもつ物質を開発する上での具体的な設計指針を得られるようになると期待される。また、今回の測定における最高圧力の15万気圧において、153Kの転移温度での超伝導現象を観測することができた。

K(Kelvin:ケルビン)は絶対温度を表す単位。絶対温度とは温度の下限である絶対零度(セ氏-273.15度 = 0K)を0とした温度で、セ氏の温度値に273.15を加えた値が絶対温度となる。転移温度とは、多くの構成要素からなる相が、ある温度などを境にして、全く異なる性質を示す転相移が起きる温度のことをいう。高温超伝導は、一般的に絶対温度約25 K以上の転移温度を持つ超伝導体で、代表的高温超伝導体としては、銅酸化物、MgB2、鉄ヒ素系超伝導体が挙げられる。

なお、本研究開発は、日本学術振興会科学研究費補助金「制御された異方的超高圧力下の物理(平成23~25年度)」による支援を受けて行われた。今回の成果の詳細は、日本物理学会が発行するJournal of the Physical Society of Japan 2013年2月号に掲載される。

【参考】
産総研 - これまでで最高温度となる153 Kでの超伝導転移を観測

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