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米国の風力発電は12月の建設ラッシュで新記録を樹立

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ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスによると、機器コストの低下と補助金終了の予想に伴い、13.2ギガワットの発電容量が導入された

(ニューヨーク、2013年2月8日[日本時間])

2012年に米国風力発電業界が新規に導入した名目発電容量は、過去最高の13.2ギガワットに達した。これには、最後の月に起きた新規導入のラッシュが大きく寄与している。2012年12月だけで導入容量は5.5ギガワットに達し、単月としては圧倒的に過去最高となった。これは、連邦生産税額控除の終了前にプロジェクトを完了させようと開発業者が急いだためである。

この数値は、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスが、クリーンエネルギー分野の取引とプロジェクトに関する業界トップクラスのデータベースに基づいて算出したものである。以前の記録は、2009年に導入された10ギガワットだった。2012年の導入容量は、2011年の6.5ギガワットに比べて102%の増加となった。

2012年の急増により、米国の風力発電容量は累計で60ギガワットとなり、同国の全発電容量の6%を占めるに至った。

ここ数年の間に、風力発電の経済性は急速に向上している。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの風力タービン価格指数で示される機器価格は、2010年以降に21%以上下落している。同じ期間に、平均設備利用率で表したタービンの性能は向上した。この2つの要因の複合により、米国の標準的な風力プロジェクトの平準化電気コストは、2010年以降に21%以上下落した。

だが、2012年の、特に最後の月における大量の開発・建設活動を促したのは、政策的要因であった。この業界の最も重要な補助金である生産税額控除(PTC)が、12月31日一杯で期限切れになることが予定されていた。このインセンティブが議会によって延長されない限り、この期限より前に稼働を開始したプロジェクトだけが控除の対象となる。最終的に議会は、PTCをいったん失効させた後、いわゆる「財政の崖」に対する救済パッケージの一環として、今年1月1日にさかのぼって延長した。

2012年のこの数値は、競合する発電方法、特に天然ガスの競争力の高さを考えれば、驚くべきものである。いわゆる「シェールガス革命」と2011~12年の暖冬の影響で、天然ガス価格は2012年4月にここ10年間の最低値である2ドル/MMBtuを記録した。この燃料価格では、電力会社がニーズを満たすために風力発電と天然ガス発電を比較した場合、天然ガスがかなり有利になる。

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの推定によれば、米国で最も風が強い地域にあるTexas Panhandleの風力プロジェクトの平準化電気コストは、PTCをプロジェクト所有者にとっての利益として考慮した場合、1メガワット時当り30ドル以下となる。これに対して、現在の天然ガス価格でのこの地域の卸売電力コストは、1メガワット時当り約25~30ドルである。

多くの州では、年間一定量のクリーンエネルギー発電容量を新規に追加することが義務付けられている。しかし、最近のこのブームには別の原因があると、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの北米風力担当リード・アナリストAmy Graceは語る。

2012年の風力の成長をもたらしたのは、PTCによって後押しされた経済性だ。短期的な導入義務がない州で11ギガワットもの容量が建設されているのがその証拠だ。つまり、ほとんどの地域では、電力会社は義務によってではなく自発的に風力を購入している


2012年は業界にとって喜ばしい1年となったが、2013年の見通しは暗い。PTCを巡る不確実性が昨年全体にわたって続いたため、開発業者や投資家は、翌年に向けてのパイプラインの構築に消極的だった。米国の風力プロジェクト向けのアセットファイナンスは、2012年の建設ラッシュに備えてこの年前半に96億ドルの最高値を記録した後、後半には43億ドルに落ち込んだ。

その結果、川上の企業に深刻な影響が及んだ。タービン、ブレードなどの風力機器の部品を製造するVestas、Gamesa、Clipper、Siemensといった企業が、軒並みレイオフを実施または予告した。

2012年の建設ラッシュに寄与した主な風力開発業者として、NextEra(新規追加容量1.5ギガワット)、Caithness Energy(0.8ギガワット)、BP(0.8ギガワット)が挙げられる。これによって最大の利益を得たタービンメーカーは、GE(2012年の米国風力プロジェクト向けタービン販売容量が4.5ギガワット)、Siemens(2.9ギガワット)、Vestas(2.2ギガワット)であった。

下の表に、2012年の米国での新規風力プロジェクト建設に寄与した上位10州の州ごとの統計値を示す。

  2012年の
建設風力容量
(メガワット)
2012年までの
累積風力容量
(ギガワット)
1 カリフォルニア 1,738 5.5
2 カンサス 1,589 2.6
3 テキサス 1,532 11.9
4 オクラホマ 1,224 3
5 オレゴン 845 3.6
6 イリノイ 803 3.6
7 アイオワ 790 5.1
8 ミシガン 700 1
9 ペンシルバニア 568 1.4
10 コロラド 496 2.5

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