> > 理研、バイオマスを粉砕した際に微生物が分解する働きを解明

理研、バイオマスを粉砕した際に微生物が分解する働きを解明

記事を保存

理化学研究所は、環境・バイオマス試料の多角的な分析ツールを駆使して「土壌微生物生態系によるバイオマス分解・代謝評価法」を構築し、リグノセルロースの複雑な立体構造の違いが、土壌微生物群の共生による「共代謝反応」へ大きな影響を与えることを解明した。

この評価技術は、微生物生態系を応用した廃棄物処理プロセスなどの産業技術における土壌やバイオマス評価に利用可能。また、土壌生態系における生物-生物間、生物-微生物間の相関関係と摂餌行動への影響、土壌-海洋間での栄養成分の循環系など、共生関係を基礎とした環境代謝分野の解析技術としても期待されている。

今回、研究チームは、稲わらに含まれる「リグノセルロース」を粉砕してその高次構造を変化させ、微生物反応場に与える影響について調べた。そのために「リグノセルロース構造や組成を解析する一次元及び二次元固体核磁気共鳴(NMR)法や赤外分光(IR)法の各種計測データ」「示差熱・熱重量測定(TG/DTA)法により解析した熱分解特性データ」「溶液NMR法と濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)法による微生物生態系の変動データ」を、研究チームが開発した「ECOMICSツール」で総合的に評価する「土壌微生物生態系によるバイオマス分解・代謝評価法」を構築。実際に解析した結果、バイオマスの持つ高次構造が、分解代謝の経路やそれに関わる微生物生態系に大きく影響を与えることが分かった。

陸上と比べて空気が少ない土壌生態系では、さまざまな役割を持った生物・微生物が共生し、それぞれが共代謝という相互作用を起こして分解反応を行っている。しかし、解析の難しい難培養性微生物が大半を占める土壌生態系の包括的な働きを調べた報告は少なく、土壌生態系による高分子複合体の分解メカニズムについての詳細は分かっていない。そのため、土壌科学では、生物の多様性や、吸着・会合といった複雑な物理化学現象が絡んだ高分子複合体の解析技術の高度化が必要とされている。

また、リグノセルロースのような高分子複合体の分解過程は、多様な元素の循環にも関与しており、レアメタル濃縮のような資源課題においても応用が期待される。従来の環境分析は重金属や環境ホルモンなど、ネガティブな物質のみに焦点を当てた報告がほとんどだったが、今回は高分子混合物まで俯瞰的に解析することで、産業利用も視野に入れた自然の理を利用するポジティブな展開を可能とした。さらに、土壌微生物の生態や代謝機能を評価し、共代謝系における役割を理解することで、物質生産や環境保持などにおいてもポジティブな応用を可能としている。

関連セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

プレスリリースを受け付けております

環境ビジネスオンラインでは、皆様からの環境に関する情報をお待ちしています。

新製品・新サービス、研究内容、法令情報、イベント・セミナー、海外の環境ビジネス情報など、お気軽にお寄せ下さい。お送り頂いた内容を、編集部にて拝見いたします。

こちらから、必要事項をご記入ください

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.