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洋上風力発電などの海洋エネルギー市場 2030年には9兆円規模か

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総合マーケティング会社の富士経済の調査・分析によると、2030年の海洋エネルギー市場は2012年比14.6倍の9兆1,500億円となる見通し。洋上風力発電がけん引し、潮流発電や波力発電なども商用化が進むと予測される。

富士経済は、2013年9月から11月にかけて、新規産業の創出や市場拡大が期待される海洋ビジネス市場とその最前線を調査した結果を発表した。本レポートでは、注目市場として、「海洋エネルギー市場」「藻類バイオ燃料市場」「バラスト水管理システム市場」「FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)市場」「メタンハイドレート市場」の5つをあげる。注目市場の概要は以下の通り。

海洋エネルギー市場

  • 2013年見込
    1兆1,134億円
  • 2030年予測
    9兆1,500億円(12年比14.6倍)

(うち洋上風力発電: 2013年見込:1兆1,080億円、2030年予測:4兆3,500億円(12年比7倍)

海洋エネルギーは、洋上風力発電、潮流・海流発電、波力発電、海洋温度差発電、浸透圧発電(塩分濃度差発電)、浮体式太陽光発電を対象としている。現状で市場を本格形成しているのは着床式の洋上風力発電のみであるが、これ以外の海洋エネルギーでも2011年頃から欧州での開発が加速しており、多くの実証実験が行われている。技術開発が順調に進めば、2020年頃までに商用化、2030年までに市場は本格形成するとみられ、2030年には9兆1,500億円が予測される。

洋上風力発電は、イギリスを中心に市場が拡大している。イギリス以外でもドイツ、ベルギー、デンマークなどが導入に積極的で2013年には1兆円を突破すると見込まれる。2020年までは欧州北部、中国、米国、日本を中心に普及し、それ以降は韓国、台湾、インドなどのアジアで導入が進むことで2030年には4兆3,500億円に拡大すると予測される。

藻類バイオ燃料市場

  • 2013年見込
    僅少
  • 2030年予測
    4兆5,000億円

微細藻類の中には体内に油脂成分を蓄積する種が確認されており、これらの藻類を培養し、液体燃料を抽出、生産する技術が研究されている。米国を中心に開発や事業化が進んでおり、2014年にも商用化が期待され、2020年代には市場は本格形成するとみられる。既存のバイオ燃料(トウモロコシ、セルロース系など)との競合が想定されるが、藻類バイオ燃料はジェット燃料の代替として期待されており、将来的には航空燃料の需要に応じて市場を形成すると予想される。

バラスト水管理システム市場

  • 2013年見込
    310億円
  • 2030年予測
    2,000億円(12年比9.8倍)

バラスト水とは、船舶の空荷時にバランスを取るため、重し代わりに使用する水のことである。注水と排水の海域が異なる場合、排水時に外来生物が放出されるため、生態系等周辺環境への影響が危惧される。これを管理するバラスト水管理条約は2015年にも発効する可能性が高く、新造船、既存船問わずシステム搭載が義務化される。

条約発効をにらみ、新造船での搭載率が上昇しており、船主や海運会社によっては既存船でもシステム搭載を進めている。発効前後には急激な需要増が予想され、2017年頃にピークを迎えるとみられるが、現行の内容通りに条約が発効されれば2020年代には既存船向けの需要が一巡し、それ以降は新造船向けを中心に安定的に推移すると予想される。

メタンハイドレート市場

  • 2013年見込
  • 2030年予測
    2,130億円

シェールガスと同じく非在来型天然ガスに分類される。海域にあるメタンハイドレートの埋蔵量は数千兆立方メートルともいわれ、商用生産の可能性を探るべく調査、探査が各地で行われている。日本では2013年に世界で初めて海洋からのガス採取に成功した。開発が順調に進んだとしても商用生産は2025年頃とみられるが、生産が軌道に乗れば、世界のエネルギー事情に大きな衝撃を与えることになる。2030年に日本の天然ガス消費量の5%程度、世界の0.1%程度をメタンハイドレートで賄うと想定すると市場は2,130億円が予測される。

FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)市場

  • 2013年見込
    1兆3,530億円
  • 2030年予測
    2兆1,000億円(12年比185.2%)

FPSOは、洋上で石油や天然ガスを生産、タンクに貯蔵、輸送タンカーへ積出する浮体式設備であり、海底油田や海底ガス田の開発に用いられる。水深3,000m近い深海での掘削や生産技術が確立されており、開発可能な領域が拡大している。石油価格の高騰を背景に海洋資源開発の採算性が向上し、ブラジルやアフリカ西海岸を中心に開発計画が急増している。

●海洋ビジネスの概要

2013年4月、日本政府が新たな「海洋基本計画」を策定した。海洋の安全保障と共に、これまで以上に海洋エネルギーや資源開発を加速させる方針が盛り込まれている。日本は四方を海に囲まれた地理的特徴から広大な領海及び排他的経済水域を有している。そこにはエネルギー資源や鉱物資源、生物資源が豊富に存在することが確認されているが、技術的な理由や採算性の問題から商用化に至らず、いまだ多くの資源が手つかずとなっている。

海外に目を向ければ、様々な海洋ビジネスが確立されており、特に海底化石資源や再生可能エネルギーといったエネルギー分野での市場拡大が予想される。資源開発が進めば日本は一躍資源大国になる可能性もあり、ポテンシャルの大きさから関心度は年々高まっている。日本では新たな「海洋基本計画」の策定を皮切りに、海洋産業の振興や新規ビジネスの創出が期待される。

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