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日立の「アナモックス菌」、工場排水の窒素を高速除去 従来より7割コスト減

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日立の「アナモックス菌」、工場排水の窒素を高速除去 従来より7割コスト減

日立製作所は、先進の工場廃水処理システムとして、同社が開発したアナモックス菌という微生物を用いた高速窒素除去システムの初号機が、国内大手化学メーカーの工場において稼働を開始したと発表した。

本システムは、従来方式を用いたシステムと同等の窒素除去性能を有するとともに、約70%のランニングコスト低減と約60%の省スペース化を実現する。今後、主に化学工業、半導体工業などのアンモニアを使用する各種工場廃水処理向けに積極的な拡販を図っていく考えだ。

今回稼働を開始した廃水処理システムは、富栄養化の原因物質として規制の対象となっている廃水中の窒素成分を、アナモックス菌を用いることにより、高速かつ効率的に処理するもの。世界でも納入例は少ないシステムとなっている。

また、今回納入したシステムのアナモックス反応槽の容量は約100立方メートルで、アナモックス菌を用いたシステムとしては国内最大級。日立の開発したシステムの高い窒素除去性能と安定性に加え、システムの維持管理が容易な点などが高く評価され、今回の納入・稼働に至った。同社100%子会社の日立プラントサービスが同工場に納入した。

アナモックス菌は嫌気性アンモニア酸化細菌。薬品を使わずに、アンモニアと亜硝酸から直接窒素ガスの生成が可能で、処理速度が速いという特長を有する。

日立は、アナモックス菌を用いた高速窒素除去システムの研究を、2005年11月から3年間にわたり、日本下水道事業団と共同で実施し、下水汚泥の脱水ろ液を対象とした基本的な窒素処理システムを確立した。さらに、2009年7月からNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「省水型・環境調和型水循環プロジェクト」に参画し、新機能微生物利用技術の開発としてアナモックス菌を用いた高速窒素除去システムの産業廃水への適用に取り組んでおり、このプロジェクトで得た各種化学物質がアナモックス菌に及ぼす影響などの成果を活用することで本システムの実用化を実現した。

アナモックス菌を用いた高速窒素除去システムの概要

従来、廃水中の窒素の処理方法としては、アンモニアを硝化菌により硝酸へと酸化させる硝化工程と、その硝酸を窒素ガスに変換する脱窒工程を経る「生物学的硝化・脱窒法」が一般的に用いられてきた。今回日立が開発した、高速窒素除去システムでは、アナモックス菌の特性により、以下の3点を実現する。

  • 硝化工程では、アンモニアの約半量を亜硝酸に酸化するのみでよく、従来方式に比べて酸化用の酸素供給に要する動力コストを約50%低減できる。
  • 脱窒工程では、従来方法では必要な薬品(メタノールなど)を使用せずに窒素ガスに変換することができるため、従来方式に比べて薬品添加量を約80%削減できる。
  • アナモックス菌による窒素処理が、従来比で約2倍の速度で行えるため、従来方式と比べて大幅な省スペース化を実現できる。

なお、硝化菌に比べて増殖速度が極めて遅いというアナモックス菌の課題を解決するために、日立では、下水処理・産業廃水処理向けの高度処理システムで培ってきた包括固定化技術を応用し、アナモックス菌を高分子ポリマーで成形した約3mm角のゲル(固定化ゲル)の中に閉じ込めることで、アナモックス菌を高濃度に保持する独自の方式を採用している。

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