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電炉ダストから高純度の亜鉛を回収する新技術 コスト・廃棄物を削減

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電炉ダストから高純度の亜鉛を回収する新技術 コスト・廃棄物を削減

東北大学は、電気炉で鉄スクラップを溶解する時に発生する煙灰(電炉ダスト)から、選択塩化法・溶融塩電解により亜鉛を効率よく回収する方法を開発した。

この回収法では、粗酸化亜鉛を経ることなく、選択塩化法で電炉ダストを約1,000℃において塩素と空気の混合ガスで直接塩化して、電炉ダスト中の亜鉛を塩化亜鉛としてガス状で分離する。得られた塩化亜鉛を食塩(塩化ナトリウム)と混合して溶融塩という液体にしてから、鉛等の不純物を除いて浄化し、亜鉛の融点より高い450℃で電気分解して、高純度の亜鉛を製造する。

これにより従来法と比べて全体の回収コストを大幅に削減できるとともに、日本のみならず世界的に問題となっている廃棄物としての電炉ダストの処理に貢献する。

今回開発された亜鉛回収法の利点は以下の通り。

  • 電炉ダスト中の亜鉛を選択塩化することで塩素が障害とならず、容易に亜鉛と鉄を分離できる。
  • 従来法よりも亜鉛の回収率が高い(95%以上)と見込まれる。
  • 塩化亜鉛は食塩との混合溶融塩として不純物を除いた後で溶融塩電解を行い、高純度(99.99%)の亜鉛を得ることができる。これは現在の最高純度規格を満たす。
  • 溶融塩電解は電流密度を大きくできるので、設備がコンパクトで生産性が高くなる。
  • 得られる亜鉛は液体状なので、水溶液電解で必要な、電極からの電着物の剥ぎ取り工程が不要。
  • 塩化後に残る酸化鉄等は、鉄源として電気炉に戻すことにより廃棄物を大幅に削減できる。
  • 全体の工程が短く単純なため、高温ではあるがエネルギー消費は少ないと考えられる。

「電炉ダスト」は、電気炉で製造される鉄鋼の1.5~2%、国内で年間約50万トン発生し、その中には25~30%の亜鉛が含まれている。その量は国内で生産される亜鉛の30~40%にも上る。亜鉛の国内市場は1,000億円規模で、日本は亜鉛鉱石を全量輸入しているため、極めて貴重な国内資源となっている。

しかし、電炉ダストは多くの不純物を含む有害産業廃棄物のため、電気炉メーカーでは処理費を払って処分している。電炉ダストの一部は化学処理後に埋め立てられ、国内では7~8割が亜鉛原料になるが、鉱石の代わりに直接、製錬に使うことはできない。それは、亜鉛が鉄亜鉛酸化物という処理困難な化合物となっていること、鉛やカドミウム等の重金属を含むこと、さらに塩ビ等に由来する塩素を多く含むのが理由となっている。

このため現行の処理法では、ウェールズ法と呼ばれるセメント製造設備に似た大型回転炉で膨大なエネルギーを使って鉄亜鉛酸化物中の亜鉛を還元・蒸留し、再酸化によって粗酸化亜鉛を作り、これを製錬工程に回している。しかし、この粗酸化亜鉛は純度が低く塩素も残るため、亜鉛の原料にするには溶媒抽出法等の追加の工程が必要となる。つまり、効率の低い高コストの方法で回収されているのが現状となっている。

【参考】
東北大学 - 選択塩化法による電炉ダストからの亜鉛回収法の開発

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