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「太陽光ファンド、“資金流用”は誤報」 ISEPが解説、メディアに是正提起

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地域エネルギー事業を支援する環境エネルギー政策研究所(ISEP:東京都中野区)は、証券取引等監視委員会が、太陽光発電事業等のファンド運営会社、おひさまエネルギーファンド(長野県飯田市)に関して行った勧告の内容について、同研究所の解説と見解を述べるとともに、誤解の見られる複数の報道について是正すべき点を提起した。

本勧告のポイントは、以下の2点で、それぞれ解説とISEP見解を述べている。

  1. 分別管理の状況に関する勧告
  2. 当局への虚偽報告に関する勧告

おひさまエネルギーファンド(以下、「おひさま社」)が弁護士・税理士とも相談して「分別管理ができている」という認識のもとで運営してきたこと、一部の報道で「流用」とされた件にいては、委員会も「私的な流用や、資金の消失は認められない」と付言していることなどを指摘する。

ISEPは、今回、見解と提起を述べた理由について、おひさま社の市民ファンドは、ISEPが当初の立ち上げから今日に至るまで、密接な支援・協力関係にあること、およびISEPが全国各地で支援・協力している地域エネルギー事業の関係者とも無関係ではないことため、と説明している。

同委員会は、5月16日付けで、おひさま社に関して、ファンドの資金の管理等について不適切な状況が認められたため、金融庁に対して行政処分を行うよう勧告した。委員会勧告とそれに対するおひさま社の説明はこちらを参照のこと。

ISEPは、まず、同委員会からの重要な付言として、以下を再掲して紹介している(出所:おひさまエネルギーファンド社ホームページ)。

  1. 私的な流用や、資金の消失は認められないこと
  2. 実態のない事業に対する出資募集ではなく悪質なものではないこと
  3. 当社を始め再生可能エネルギー分野への健全な投資が進むことに期待して改善を促すための勧告であること

委員会勧告に関するISEPの解説と見解の概要は以下の通り。

1.「分別管理の状況」に関する勧告

第二種金融商品取引業者(本件ではおひさま社)は、金融商品取引法の規制によって「分別管理」を求められている。「分別管理」とは、文字どおり「出資者のお金を分別して管理すること」を意味する。市民ファンドの場合、匿名組合契約のファンド出資者の持分(出資者のお金)と匿名組合契約の営業者(自分のお金)との分別、および、営業者が複数のファンドを運営している場合には、ファンドごとの収益がわかるようにする資産の分別がある(ある事業への出資者のお金と別の事業への出資者のお金の分別)。

今回のケースでは、おひさま社は、市民ファンド毎に会社(営業者)を立てていることを持って「分別管理ができている」(すなわち、特定の営業者=特定の市民ファンド)という認識のもとで運営してきていたもの。当然、弁護士・税理士とも相談しての運用だった。

ところが金融庁では、営業者固有の銀行口座と匿名組合契約のファンド出資者の口座を分けるよう指導しており、両者の認識間でずれがあり、結果として委員会から分別管理が不徹底との勧告と指導が行われた(下図参照)。

なお、前記「重要な付言」で述べたとおり、委員会も「悪質なものではない」こととしていることに加えて、おひさま社は金融商品取引法が成立(2007年)する以前(2005年)から事業で区分した会社毎の分別を行ってきていた事情を考えれば、これまでの運用で「分別管理ができている」という解釈していたことは十分に理解できるものと考える。

●「流用」の有無について

一部の報道で「流用」とされた件だが、こちらも2つの営業者の間で「一時的な資金の貸借」であり、委員会も「私的な流用や、資金の消失は認められない」と付言している。この「一時的な資金の貸借」が営業者固有の資金融通であれば、法的に何ら問題がなかったが、参考図にあるとおり銀行口座を分けたかたちでの分別管理を行っていなかったために、金融商品取引法が認めていないファンド間の資金流用と見えなくもない、というグレーゾーンの状況から改善を勧告されたもの。

この運用を「流用」と書いた報道機関は明らかに行き過ぎであり、「誤報」もしくは憶測に基づく「飛ばし記事」と批判されてもしかたのない報道と指摘できる。

●自然エネルギー市民ファンドについて(以下「市民ファンド社」)

市民ファンド社は、いわばおひさま社の「兄貴分」として2001年から自然エネルギーに関する市民ファンド事業を行ってきており、2007年の金融商品取引法の成立と同時に、おひさま社と同様に第2種金融商品取引事業者の資格を得ている。

その市民ファンド社は、現在、ISEPの協力のもとで、石狩厚田・会津・小田原・山口の「日本全国ご当地エネルギー市民ファンド」を公募しているが、これらはいずれも各営業者に対して固有の資金と出資者の資金を銀行口座単位で分別管理していることを確認した上で、それぞれの市民ファンドを募集代行しており、このたびの委員会勧告の指摘には該当しないことを申し添える。

2.「当局への虚偽報告」に関する勧告

上記のとおり、おひさま社は、会社毎の分別をもって「分別管理」できているという解釈と認識のもとで関東財務局長による平成25年6月28日付の報告徴取命令に基づく報告をしていることから、これを「虚偽報告」とすることは表現が適切とは思えない。今回の検査によって是正勧告を受けている事項であることから、せいぜい「遡っての報告修正」が適切と考える。

3. 一部報道機関の報道のあり方についての是正の提起

今回の委員会勧告に関する各報道機関の中には、疑問を感じざるを得ない報道がいくつか散見された。中でも委員会勧告の前日(5月15日)に先行報道したNHKとそれに追随したいくつかの報道は、明らかに事実誤認を含んでいる上に、視聴者に大きな誤解を招きかねない表現ぶりで報道しており、公正中立な報道規範を侵害する重大な問題をはらんでいる恐れがあると考える。

上記の報道で「流用」という表現や「ずさん」という、委員会も付言で否定したネガティブなレッテル張りが行われたことは、おひさま社の信用を著しく毀損する恐れがある上に、出資者をはじめとする多くの関係者に誤解や心配を与えた可能性があると思われる。

【参考】
ISEP - 『おひさまエネルギーファンド株式会社に関する証券取引等監視委員会の勧告』についてのISEPの見解と提起

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