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「原発の電力が25%あれば電力コスト2.4兆円減、GHGは15%減」 RITEが試算

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「原発の電力が25%あれば電力コスト2.4兆円減、GHGは15%減」 RITEが試算

地球環境産業技術研究機構(RITE)は、2030年の電源構成(エネルギーミックス)について、エネルギー・費用・マクロ経済への影響などについて分析した結果を発表した。この分析には、RITEのエネルギー・温暖化対策評価モデルを用いた。

RITEは、ベースロード電源(原子力、石炭、水力、地熱)比率が40%から50%、60%と増えるにつれて、2013年電源構成比率と同じとした現状放置ケースと比べ、エネルギーシステムコストが低減し、ベースロード電源60%の場合、年間2.4~2.5兆円程度コストを抑制可能と分析している。また、再エネ比率の増大に伴って発電単価、エネルギーシステム総コストともに増大する。

この分析から、RITEは、電力コスト・エネルギーシステムコストの抑制のためには、ベースロード電源比率を、震災前の水準である60%近い水準にまで引き上げることは重要な一つの方向性と捉えている。

また、原子力と石炭発電の間ではコストに大きな差異がなく、両者の間の代替であれば、あまり大きな経済負担にならないが、石炭発電を増やせば、CO2排出量は大きくなるため、そのトレードオフを十分見極めるべきだとしている。

現在、政府において、エネルギーミックスと約束草案(温室効果ガス排出削減目標)の議論が行われている。今回、RITEでは、政府によるエネルギーミックス検討のマクロフレーム(GDP見通し等)と整合的な条件をおいた上で、RITEが保有しているエネルギー技術評価モデルDNE21+とエネルギー経済モデルDEARSを用いて、本議論に関連した分析を行った。

分析で得られた結果概要

震災以前に60%程度あったベースロード電源は、2013年時点において40%程度にまで下がっている。2030年において、ベースロード電源比率が40%(再エネ比率は30%と想定)の場合に比べ、ベースロード電源50%(再エネ比率25%)になれば、年1.4兆円もエネルギーシステムコストは低下すると見られる。

更に、ベースロード電源60%(再エネ比率20%)になれば、年2.4兆円もエネルギーシステムコストは低下する(CO2排出削減強度をWEO新政策シナリオ程度とした場合)。GDPは、2013年の電源構成比率が2030年まで継続したとする現状放置ケースと比べ、ベースロード電源比率が50%のときは年間+2.6兆円、60%になれば+3.5兆円程度引き上がると推計される。

温室効果ガス(GHG)排出量見通しについては、ベースロード電源比率が60%程度かつ原子力比率が20%程度の場合には、最終エネルギー需要での省エネ等の対策を強化しても、2030年のGHG排出量は2005年比で10%減程度と見られる。2030年のGHG排出量は2005年比で15%減程度に近づけるためには、原子力比率は25%程度が必要になると推計された。

エネルギーは産業の基盤であり、エネルギー政策の意思決定は長期にわたって経済、温室効果ガス排出に影響をもたらす。蓋然性が高く、客観的かつ整合的な分析に基づいて、経済影響(コスト負担を含む)および温室効果ガス排出削減等と、エネルギーミックスの相互関係を冷静に把握した上で、意思決定を行うことが大切だと指摘する。

分析の具体的なシナリオについて

分析の具体的なシナリオは、2030年の電源構成について、ベースロード電源(原子力、石炭、水力、地熱)比率が40%、50%、60%等の場合、また、再生可能エネルギー比率が15%、20%、25%、30%の場合、といった複数のエネルギーミックスのシナリオを想定した。

これに加え、最終エネルギー需要等における省エネルギー、CO2排出削減対策も評価するために、CO2排出削減強度の異なる2種類のシナリオ(IEA世界エネルギー見通し(WEO)2014の分析で用いられた「新政策シナリオ」と「450シナリオ」の炭素価格水準を想定)を想定した。これらのシナリオについてモデルを用いた分析を行い、それぞれのシナリオの電源構成、一次エネルギー供給、エネルギーシステムコスト、GDP影響、電気代の見通し等について推計した。

公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)について

1990年に日本政府が提唱した「地球再生計画」に基づき、地球環境問題に対する革新的な環境技術の開発などを国際的に推進する中核的研究機関として設立された。

【参考】
RITE - エネルギーミックスの分析と温室効果ガス排出見通し(PDF)

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