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アジア太平洋諸国が約束草案を議論 気候変動の「適応」も焦点に

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環境省は、タイ天然資源環境省天然資源・環境政策局およびオーストラリア外務・貿易省との共催により、6月29日(月)・30日(火)の2日間、タイ・バンコクにおいて「第24回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催した。

今回のセミナーには、アジア太平洋地域の16カ国、国際機関および研究機関等(11機関)より約50名の気候変動に関する担当官・専門家等が参加し、各国が定める2020年以降のの約束草案(温室効果ガス削減の目標等)の内容や準備状況等について情報共有し、活発な議論が行われた。

環境省からは田中大臣官房審議官ほかが出席した。事務局は一般社団法人海外環境協力センター(OECC)が務めた。

本セミナーの概要

1日目に、途上国の約束草案(Intended Nationally Determined Contribution:INDC)の準備・策定に向けた国連機関や研究機関による支援、各国のINDCの準備状況の概況に関する報告がなされた後、エネルギー、植林・土地利用、交通、廃棄物管理の各分野におけるINDCの内容等について、相互に経験や知見の共有が行われた。

2日目には、INDCにおける適応の扱いおよびINDCの策定に際しての国内の体制や調整プロセスについて、各国より発表が行われるとともに、2020年以降の枠組みにおける報告制度のあり方についての意見交換が行われた。

なお、当日の発表資料については、参加者からの許可を得たものに限り、後日環境省のウェブに掲載する予定。

結果概要

(1)各国の約束草案(INDC)の準備状況

日本、インドネシア、タイ、マーシャル諸島、中国、モンゴル、豪の7カ国より、INDCの準備状況について発表が行われた後、国内での公開討論の進め方とその結果の反映、INDCの提出までの予定、国別報告書等の既存データ等の活用、INDCにおける排出削減と適応の扱い等について質疑応答が行われた。

(2)エネルギー、植林・土地利用、交通、廃棄物管理の各分野におけるINDCの準備状況

エネルギー分野については、ほぼ全ての分野の排出削減をカバーする国々では、エネルギー政策における気候変動の主流化、モデリング成果の政策決定へのインプット、産業界・関係省庁など利害関係者の巻き込み方の難しさ等について議論が行われた。

他方、排出量の少ない国々では、信頼できるデータの入手や、適応策を含む他の政策目的との調整(コベネフィットの確保)などが重要な課題であることが認識された。

その他の分野でも同様の課題が示された。廃棄物管理の分野でもデータや知見の不足が指摘され、バイオガスや廃棄物のエネルギー利用がコベネフィットの観点から有用であること等が共有された。

(3)INDCにおける適応の扱い

世界資源研究所(WRI)より、INDCに適応を含める意義として、国内外の注目度を高めること、計画を前進させること、教訓を共有することが挙げられ、INDCと国別適応計画の違いについては、前者が国際社会に対するコミュニケーションツールで、後者は国内における計画プロセスであること等が指摘され、INDCにおける適応の扱いに関して各国事情に応じた柔軟性が重要であることが強調された。

続いてバングラデシュ、タイ、カンボジア、スリランカの4カ国より、開発5カ年計画、気候変動戦略・活動計画、国別報告書、国別適応計画等の既存の取り組みに鑑み、水資源、農業等の脆弱な分野におけるニーズを視覚化すべく、排出削減とは別に、INDCの適応部分を考慮していることが共有された。INDCに適応を含める意義は、国際社会における注目度を高めることであることが強調された。

気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)からは、リマ決定に基づき、10月1日までに提出されたINDCを基に事務局が統合報告書を作成することになっていることから、各国のINDCがそれまでに提出されることが望まれる旨強調され、これに間に合う形で適応の検討が行われるべきとの意見が示された。

(4)INDCの策定に際しての国内の体制や調整プロセス

インドネシア、ベトナム、ブータン、ツバル、ナウルの5カ国より、異なる各国事情を踏まえ、既存の長期戦略・計画との関連を考慮しつつ、(必要に応じて分野別の)利害関係者(関係省庁や地方政府等の専門家)との調整を行いながら、遅くとも9月の提出を目指してINDCの準備を進めていることが共有された。

(5)2020年以降の枠組みにおける報告制度のあり方

排出削減の実施においては、地球規模での「透明性」が重要であることが改めて認識された。一方で適応については、排出削減と比べ報告の経験が少ないこと、気候変動の影響やその報告への対応は各国・地域におけるローカルな問題であり、各国により事情が異なること、専門家や政策決定者を交えた国内の対話が重要であること、国際的には、INDCにおける適応の扱いを含め、各国間で情報を共有し、理解しあうことが重要等の意見が出された。

適応と緩和について

地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行うことが「緩和」、気候変動影響への防止・軽減のための備えと、新しい気候条件の利用を行うことが「適応」。緩和策の例としては、省エネ対策再生可能エネルギーの普及拡大、CO2の吸収源対策、適応策の例として、渇水対策、治水対策、感染症対策などがあげられている。

【参考】
環境省 - 第24回地球温暖化アジア太平洋地域セミナーの結果について

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