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「電力の先物取引市場」 経産省がスタートに向けた報告書を取りまとめ

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経済産業省は、将来の電力を取引する先物市場の創設に向けた対応の方向性をまとめた報告書を公表した。

2016年4月に、電力システム改革の第2段階として、電力の小売りが全面自由化される。電力の小売全面自由化後、電力先物市場は、小売電気事業者、発電事業者、電力需要家などにとって、将来の電力価格をあらかじめ確定し、電力価格の変動リスクを回避する重要な手段となる。また、電力先物市場を通じて、将来の電力価格が発信されることにより、小売電気事業者等は、今後の事業活動の見通しが立ちやすくなる効果も期待される。

電力を扱う様々な事業者のヘッジニーズ等に対応した電力を先物市場に上場することは大事であるが、流動性の分散を避け、電力先物取引の厚みを増していく観点から、標準的な取引に絞って電力を上場していくことも鍵となる。

そこで、同省は、電力システム改革の具体化に向けて、日本における電力先物市場の望ましい枠組みを検討・協議するため、「電力先物市場協議会」を設置し、本年3月から計5回開催してきた。本報告書は、本協議会における検討内容を取りまとめたもの。

報告書のポイント

1. 望まれる電力先物市場の枠組み

  • ベースロード(1日における24時間分の電力)、日中ロード(平日8時~18時)の電力を先物市場に上場。ピークロード(取引対象となる時間帯を限定した電力)については、(当面は上場ではなく)店頭取引の枠組みを活用。
  • 標準的な取引に集中させて取引量を高める観点から、システムプライス(全国の電力需給に基づいた価格)の電力を上場すべき。地域毎の市場(エリアプライス)は当面上場せず。将来的には、英米等の状況も勘案し、システムプライスとエリアプライスの値差をヘッジする先物取引を検討。
  • 決済方式は、送電制約を踏まえ、現物受渡しではなく差金決済。最終決済価格は日本卸電力取引所のスポット取引市場の「月間平均価格」にすべき。

2. マネーゲームの防止策

  • 上場認可に際しては、商品先物取引法に基づいて、電力の安定供給や適正な電力価格の形成に悪影響が及ばないよう、経済産業省が適切に判断(現物取引の厚みを見ながら、国が認可判断)する。
  • 上場後についても、商品取引所において、建玉制限(売買量の制限)、サーキットブレーカー(市場が過熱した際に取引を一時中断)などの仕組みを導入し、現物取引の監視と連携して対応を行うことが重要。

3. 今後について

  • 本協議会の検討を踏まえ、商品取引所や各事業者において準備を進め、2016年の小売全面自由化後、可及的速やかに電力先物を上場すべき。

4. その他(清算の効率化について)

  • 電力の現物取引や先物取引を行う事業者の利便性、資金効率性の向上や、業務の効率化を図る観点から、利用者のニーズも踏まえ、清算の効率化に向けた検討を進めるべき。
  • 電力の先渡市場は、現物調達の場としての機能が期待され、電力価格のリスクヘッジや将来価格の形成といった先物市場の機能とは異なる側面を有するため、当面維持。今後、スポット市場等の取引の厚みが更に増していく際には、改めて先渡市場の位置付けを評価していくことが重要。

日本の電力取引市場について

日本卸電力取引所(JEPX)では、翌日に受け渡しする電力の取引を行うスポット市場(前日市場)を中心に、電力の取引を行っている。一方、将来に受け渡す商品(電力)を取引する市場は、先渡し、先物と呼ばれている。最終の取引決済時に電力の受け渡しを行うのが先渡しで、電力の受け渡しを伴わずに金銭授受のみで決済するのが先物。現在、JEPXでは、先物取引は認められておらず、先渡しの取引が行われている。

【参考】
環境省 - 電力先物市場協議会の報告書を取りまとめました

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