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2016年以降の固定価格買取制度、「設備認定」は「系統接続契約」の後に?

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経済産業省は、25日に開催した第2回「再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会」で、固定価格買取制度(FIT)の手続きの流れについて、現状の課題を整理するとともに、それを踏まえた制度見直し案等を示した。

現行FITでは、太陽光発電では収益をあげるために、国の認定を受けた後も事業に着手しない不当な案件が見られる。

その対応策として、これまで平成24~25年度400kW以上の案件を対象に報告徴収後、順次聴聞を行ってきた。今後の対応では、体制の強化と聴聞手続きの効率化等による手続きの加速を図る。平成24~25年度50kW未満の分割案件(合計して400kW以上となるもの)(約6.3万件)についても、今後聴聞を加速し、2年をメドに聴聞・取消しを実施する計画だ。

「認定時期」については、事業実施の可能性が高い案件を認定するために、系統接続申し込みの前から、系統接続の契約締結後に移行する見直し案が示された。

太陽光発電などで認定を得た後の事業実施段階においても、景観や光害など、地域トラブルが発生している。そこで、認定取得後の事業実施について、一定の規律を及ぼすことができる仕組みや、認定情報を原則公表する仕組み等を検討する。

また、来年4月の電力小売りの全面自由化後は、FIT下で小売電気事業者が負う再生可能エネルギーの買い取り義務について、買取義務者を小売電気事業者でなく送配電事業者にする案を示した。

今回、省エネルギー庁がまとめた資料「固定価格買取制度の手続の流れについて」の概要は以下のとおり。

認定制度

「認定制度」の現状

現行のFITにおいては、太陽光発電の場合、国の認定を受け、系統への接続申込みを行った時点で、買取価格が決定し(平成26年度まで)、系統接続枠を仮押さえすることができる制度となっていた。そのため、転売や、将来の事業費用低減を待って収益を最大化するために、これらの権利のみを押さえ、運転開始に向けた取組みを行わない案件(認定済み・未稼働案件)が少なからず存在する。

こうした事態に対処するため、これまで、以下の施策を行ってきた。

  • H24~25年度に認定を受けた案件の取消し(認定に係る場所と設備の確保ができない場合)の実施
  • H26年度以降の失効期限付き認定(認定後一定期限内に認定に係る場所と設備の確保ができない場合)の導入
  • H27年度以降の調達価格の決定時期の後ろ倒し

これまでの対応では、H24~25年度400kW以上の案件を対象に15,074件の報告徴収を実施。報告徴収後、順次聴聞を行い、取消し・自主廃止になった案件は2,156件にのぼる。今後は体制の強化と聴聞手続きの効率化等を図る。

認定時期について

(現状)現行の「認定制度」は、買取の対象となる発電を国が認定することにより、認定を受けた発電設備について電力会社に系統接続を申し込んだ場合に電力会社がそれに応ずる義務をかけるために、接続申し込みの前に認定する仕組み。他方、事業の確度が低い初期段階で「認定」を行うことにより、未稼働案件が増加する原因に。

(見直し案)エネルギーミックスを踏まえた再生可能エネルギーの導入を確実に実行するという政策目的に鑑みれば、認定時期を系統接続の契約締結後に移行することで事業実施の可能性が高い案件を認定していくことが妥当ではないか。

認定案件の適正な事業実施に向けて

現行の認定制度において、次の課題も指摘されている。

  • 認定を得た後の事業実施段階において、有効な規律をかけられない。
  • 再エネ発電事業について地域が情報を把握するための仕組みがなく、景観や光害など、地域トラブルが発生している。

これらの課題に対して、

  • 認定取得後の事業実施について長期安定的な発電を実施させるために一定の規律を及ぼすことができる仕組みとする。
  • 認定情報を原則公表としてはどうか。ただし、家庭用太陽光(10kW未満)については、一定の配慮を行うべきか。

以上の案が示されている。

調達価格の決定時期

制度開始当初は、ファイナンス等への配慮から、認定を取得し、電力会社に接続申込みをした時点で調達価格が決定することとしていた。このため、価格が決定した上で、設備の値下がりを待って事業化しない案件や、系統容量超過のおそれが発生し、電力会社から接続承諾が得られない案件が発生した。

これを踏まえ、平成27年4月から、太陽光については、価格決定時期を「接続契約の締結時」に後ろ倒しし、コスト構造が確定する時期に、価格決定時期を近付けることとした。今後、調達価格の決定時期をどのように設定すべきか。

買取義務者

買取義務者再検討の必要性

現在のFITにおいては、電気の使用者に直接電気を供給する電気事業者である、一般電気事業者・特定電気事業者・特定規模電気事業者に対し、政府が定めた調達価格・調達期間による電気の供給契約(特定契約)の申込みがあった場合には、これらに応ずるよう義務づけている。

来年4月からの小売全面自由化実施に伴い、従来の電気事業者は、発電事業者、送配電事業者、小売電気事業者に区分されることとなる。これに伴い、現行制度の法制的な枠組みを大きく変更することはしないとの整理に基づいて、買取義務者は、電気の使用者に直接電気を供給する電気事業者すなわち小売電気事業者とすることとした。

一方、昨年秋に接続保留問題が発生。国民負担を最小化しつつ最大限の再生可能エネルギーの受入れを進めるためには、系統の効率的な利用や広域融通の促進が必要となっている。こうした観点から、買取義務者を送配電事業者にすべきとの指摘がなされている。

小売買取と送配電買取の違い

買取義務者について、以下それぞれの場合が考えられる。

  • 小売電気事業者とする場合
  • 送配電事業者とする場合

それぞれの特徴についてイメージで示した。

送配電買取の主なメリット

以下の3点をあげた。

  • 需給運用の柔軟化:送配電事業者が需給調整を直接行うため、揚水発電所の活用や広域融通等がより行われやすくなる。
  • 制度の簡素化:発電計画値と発電実績値の差であるインバランスの精算ルールが簡素化する(FITインバランス特例が不要)。買取義務者が自ら出力制御を行うことにより、出力制御時の業務フロー、権利義務関係等が簡素化する。
  • その他:特定の小売電気事業者への買取の集中が回避され、競争中立的となる。送配電事業者は倒産リスクが非常に低いため、買取の安定性が保証される。

送配電事業者を買取義務者とする場合の主な論点

主な論点として、以下3点があげられている。

  • 小売電気事業者への引渡し方法:大別して、「市場経由の引渡し」「小売への割付け(沖縄や離島のように市場を活用できない場合は必須)」の方法が考えられるが、いずれの方法についてもそれぞれ解決すべき制度的課題があり、今後精査をしていくことが不可欠だとしている。
  • 既存契約との関係(小売買取の経過措置):既存契約との関係では、施行前に締結された特定契約に係る再エネ電気については経過措置として小売買取のままとすることを認めるべき、との案が示されている。
  • 買取期間終了後の扱い:買取期間終了後の扱いでは、以下の論点が示された。

現在のFIT上、余剰買取対象の住宅用(10kW未満)太陽光については、買取期間が10年間に設定されているため、2019年11月以降、買取期間が終了する案件が大量に発生する見込み。買取期間終了後は、通常の電源と同様、小売電気事業者と買取契約を締結することが原則。ただし、買取先が決まらない旧FIT電源が発生する場合に備えて、最終保障買取を行う必要性や条件等について検討すべきではないか。

また、小売電気事業者が買い取る場合も、住宅用太陽光等の設置者等、発電計画の作成が困難な主体に過度な負担を負わせることは避けるべきであり、例えばFITインバランス特例と同等の措置を講じる必要があるのではないか。

FITインバランス特例について

電力の需要量と供給量との差分を「インバランス」という。これまで新電力(PPS)には、作成した発電計画に対し「30分同時同量」(30分単位の需要量と供給量の差を±3%以下にすること)が課せられてきた。

発電計画に関しては、FITに関わる「FITインバランス特例制度」が存在する。特定供給者(発電事業者)に代わって一般送配電事業者が発電計画を作成する仕組み(特例制度1)と、小売電気事業者が発電計画を作成する仕組み(特例制度2)だ。

【参考】
経産省 - 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会(第2回)‐配布資料

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