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燃料電池の耐久度を100倍にする新技術 実用化に向け1歩前進

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燃料電池の耐久度を100倍にする新技術 実用化に向け1歩前進

九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)は、低温加湿下で発電する固体高分子形燃料電池の触媒材料と作製法を工夫し、同電池の耐久性を向上させることに成功したと、2015年11月23日に発表した。

より現行材料に近い条件で100倍の耐久度

同研究所では、2013年4月の時点で、次世代発電条件と期待される120℃の高温・無加湿条件下で寿命をテストする模擬試験を行い、市販の電極触媒よりも100倍以上の耐久性を実現していた。

耐久性テストの結果

耐久性テストの結果

今回は電極触媒に、商用化されている燃料電池にも使用されるNafionと呼ばれる樹脂を用い、80℃加湿条件という一般的な条件で実験を行った。その結果、市販の触媒を用いた場合では起電力が5,000サイクル程度で半減するのに対し、600,000サイクル後でもほとんど起電力の減少が見られないという成果を得た。

これは、より現行材料に近く、優れた耐久性を引き出せる画期的な電極を生産できる手法として期待される。耐久性が向上することで、燃料電池を買い替える負担が軽減され、実質的な低コスト化にもつながる。

耐久度100倍を実現するメカニズムとは

固体高分子形燃料電池は、水素と酸素が反応し水を生成する反応を利用して発電するクリーンな発電システム。その中で、固体高分子膜(イオン交換膜)を電解質として利用する燃料電池だ。

燃料電池は発電に関わる化学反応を促進させるために、白金系のナノ粒子を触媒として導電性の粉体(カーボンブラック)に固定して用いる。この「電極触媒」がコスト、効率、耐久性を大きく左右するために、研究開発の中心となる。

通常の電極触媒には、水素イオンを伝達する樹脂を使用する。同研究グループでは、これまでにカーボンブラックの表面に吸着しやすい樹脂を発見し、この樹脂を「のり」として白金ナノ粒子を固定する技術を発明し、炭素材料表面へ白金ナノ粒子を固定できる開発を行っている。

今回使用された技術では、これまでは白金ナノ粒子の固定が困難だった、優れた伝導性や耐久性を持つカーボンナノチューブ(CNT)に、ポリベンズイミダゾールと呼ばれる特殊な樹脂を「のり」として利用し、白金ナノ粒子を均一に高分散で固定することに成功したもの。

独自の電極触媒作製法

独自の電極触媒作製法

燃料電池はエネルギー効率が高く、自動車や家庭用の発電機として導入が進み、さらなるコスト削減と効率や耐久性の向上が求められるが、今回の開発により、大幅なコスト低減が期待される。また、カーボンナノチューブ(CNT)もカーボンブラックと比較し高価なため、更なるコスト削減が望まれているが、現在プラントレベルの製造が開始され、燃料電池を含めた用途開発との相乗効果で大幅なコスト低減が期待されている。同研究グループは、今後も実用化に向けて検証を進める予定。

なお、この研究成果は、2015年11月23日に英科学誌Nature姉妹誌のオンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。

【参考】
九州大学 - 固体高分子燃料電池の飛躍的な超高耐久性実現 ― 「不死身化」に向けて(PDF)

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