> > 「日本固有の樹種の群落は回避」 岩手県の地熱発電所計画に環境大臣が意見

「日本固有の樹種の群落は回避」 岩手県の地熱発電所計画に環境大臣が意見

記事を保存
「日本固有の樹種の群落は回避」 岩手県の地熱発電所計画に環境大臣が意見

環境省は12月25日、三菱マテリアル(東京都千代田区)と三菱ガス化学(東京都千代田区)が設立した安比地熱(岩手県八幡平市)が岩手県八幡平市において、設置を計画している出力15,000kW級の「安比地熱発電所(仮称)」の計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。

環境大臣意見では、本事業の実施により、

  • 既設温泉への影響を回避または極力低減すること
  • オオシラビソ群落の改変を原則として回避すること
  • 地形改変を最小にすること
  • 周辺植生への影響を回避または極力低減すること

などを求めている。

今後、経済産業大臣から事業者である安比地熱に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

環境大臣意見の概要

本事業は、「岩手県地球温暖化対策実行計画」(2012年3月)において、再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでいる岩手県内で計画されており、再生可能エネルギーの普及の観点から望ましいものと評価している。

一方、本事業の事業実施想定区域(約15万平方メートル)の周辺は、水源の涵養を目的とした保安林が存在し、事業実施想定区域・その周辺には特定植物群落に指定されている森林が存在する。

また、地熱発電所は、その事業特性や環境特性上、地熱流体の採取と熱水の還元による地熱貯留層や温泉といった地下資源への影響、冷却塔から排出される蒸気や硫化水素による植物への影響等、特有の環境影響も含めて懸念される。

これらを踏まえ、本事業計画の更なる検討に当たっては、前述の措置を適切に講ずることにより、対象事業実施区域の設定および地熱発電設備等の配置等について検討すること、また、それらの検討の経緯および内容については、方法書以降の図書に適切に記載することを求めた。

具体的な措置として、地熱発電事業の環境影響については十分に解明されていない点もあることから、最新および先行事例の知見を反映すること/施設供用後に、生産井または還元井の機能低下による、補充井の掘削が想定されており、それに伴う追加的な環境影響が 懸念される。そのため、生産井や還元井は、できる限り長く維持し、補充井の掘削等が最小限となるよう事業内容を検討すること、等をあげる。

地熱発電所の配慮書に対する事業手続きは初

環境影響評価法および電気事業法は、出力10,000kW以上の風力発電所の設置または変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。

本件は、安比地熱の「安比地熱発電所(仮称)設置計画」に係る環境影響配慮書について、この手続に沿って意見を提出するものである。

本件は、地熱発電所としては、改正環境影響評価法の施行後初めて配慮書から手続きが行われるものである。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

事業背景

八幡平の東側に位置する安比地域周辺では2000~2003年度に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による地熱開発促進調査が実施され、発電出力20MW規模の地熱資源量が存在すると評価されている。

その後、2004年度から三菱マテリアルが追加の長期噴出試験を含む調査、地熱資源量および経済性評価等による事業化検討を継続してきた。このような背景のもと、今後の事業体制を整備するために、2015年10月、三菱マテリアルと、継続調査に協力してきた三菱ガス化学により、合弁会社である安比地熱が設立された。

同社は、本事業を進めるにあたり、安比地熱発電所(仮称)の設置が、周辺の環境に及ぼす影響について調査し、予測・評価を行うため「環境影響評価法」および「電気事業法」に基づいた環境影響評価(環境アセスメント)を進めている。

【参考】
環境省 - 安比地熱発電所(仮称)設置計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出

関連セミナー・イベント情報

関連カテゴリ

プレスリリースを受け付けております

環境ビジネスオンラインでは、皆様からの環境に関する情報をお待ちしています。

新製品・新サービス、研究内容、法令情報、イベント・セミナー、海外の環境ビジネス情報など、お気軽にお寄せ下さい。お送り頂いた内容を、編集部にて拝見いたします。

こちらから、必要事項をご記入ください

Copyright © 2012 日本ビジネス出版. All rights reserved.