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水に沈めて太陽光を当てると水素を発生する光触媒シート NEDOなどが新開発

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水に沈めて太陽光を当てると水素を発生する光触媒シート NEDOなどが新開発

NEDOは10日、人工光合成による水素製造の基盤技術開発に取り組むプロジェクトにおいて、2種類の粉末状の光触媒を用いた混合粉末型光触媒シートを開発し、本シートを用いて1.1%の太陽エネルギー変換効率を達成したと発表した。

開発した混合粉末型光触媒シートは、水中に沈めて太陽光を当てるだけで、水を分解して水素と酸素を発生させることができ、非常にシンプルな構造で、大面積化と低コスト化に適しているため、安価な水素を大規模に供給できる可能性を持っている。

さらに実用化を目指したプロセス開発も同時に行い、大量生産可能なスクリーン印刷法を利用した混合粉末型光触媒シートの塗布型化にも成功した。

本成果は、NEDO、人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)(※1)、東京大学、TOTOの共同開発によるもの。概要は下記の通り。

CO2排出量の削減に役立つ革新的技術

NEDOとARPChemは、「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」(※2)において、太陽エネルギーを利用して光触媒によって水から得られるクリーンな水素と、二酸化炭素を原料とした基幹化学品(C2~C4オレフィン:二重結合を1つ含む炭化水素化合物)製造プロセスの基盤技術開発に取り組んでいる。このプロジェクトは、「光触媒開発」「分離膜開発」「合成触媒開発」の3つの研究開発テーマで構成され、二酸化炭素排出量の削減に貢献可能な革新的技術開発の一つとして、中長期的に推進すべき研究に位置付けられている。

人工光合成プロジェクトの概要

人工光合成プロジェクトの概要

今回、本プロジェクトにおいて、2種類の粉末状の光触媒と導電性材料をガラス基板に固定化した混合粉末型光触媒シートを開発し、本シートを用いて1.1%の太陽エネルギー変換効率を達成した。

スクリーン印刷でコスト削減

この混合粉末型光触媒シートは、可視光を吸収する水素および酸素発生用の2種類の光触媒の粉末を混合してガラス基板上に塗布し、その上に導電層を蒸着して形成。その後、導電層および光触媒層を剥離する粒子転写法プロセスにより開発した。これにより、光触媒と導電層の接触抵抗を比較的容易に軽減することができた。

粒子転写法を用いた混合粉末型光触媒シートの作製方法

粒子転写法を用いた混合粉末型光触媒シートの作製方法

この混合粉末型光触媒シートは、シンプルな構造かつ補助電力等を使わず、水中で太陽光を照射するだけで水を分解することができる。また、同一面上で水素と酸素を生成することができるため、高性能を維持したまま大面積に拡張可能なことも特徴。

さらに、将来の実用化の際に必須となる大量生産への展開を図るべく、上記の混合粉末型光触媒シートのコンセプトに基づき、簡便なスクリーン印刷による10cm角の塗布型化にも成功し、水素および酸素の定常的な発生を確認した。

今回の混合粉末型光触媒シートのコンセプトでは高性能光触媒粉末の塗布コストが製造コストに直接反映される。したがって今回のようなスクリーン印刷を用いる作成方法は大幅な製造コストの削減が期待でき、圧倒的に安価な水素製造のための水分解光触媒モジュールへの転換点となる可能性のある研究成果である。

今後、実用化に向けた水素製造デバイスおよびモジュール構造の最適化を進め、2021年度末までに太陽エネルギー変換効率10%の達成を目指す。

※1 人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)参画機関:国際石油開発帝石、住友化学、TOTO、(一財)ファインセラミックスセンター、富士フイルム、三井化学、三菱化学 (五十音順)

※2 二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト):人工光合成とは太陽エネルギーを用いて、水や二酸化炭素等の低エネルギー物質を、水素や有機化合物等の高エネルギー物質に変換する技術。本プロジェクトでは、2012~2021年度の研究期間で、人工光合成に係る基盤技術開発に取り組んでいる。2012~2013年度は経済産業省、2014年度からはNEDOのプロジェクトとして実施中。

【参考】
NEDO - 廃棄物等の不法輸出入監視に係る取組強化の結果について

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